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ナツメヤシ( 植物・文様)

植物としてのナツメヤシ

植物:ナツメヤシ(棕櫚)

ナツメヤシ
学名:Poenix dactylifera L.
草木名(英名):(Date Palm)
分類 ヤシ科ナツメヤシ属

乾燥熱帯域で栽培される高木
種類:ピーヤロム(Pyarom)種など
原産国:イラン

果実は主食的に利用される
実の和 名:デーツ又はナツメヤシの実



荒俣宏「花の王国」第3巻(平凡社1990刊))

英名  Date Palm 
デートは、古代ギリシア名のダウティロスが英語化したもの。
この語は、本種の特産地である南アラビアの地名に基づくものだが、
「指」という語と融合したもの。
民間語源論によると、果実が指のようだからという。

学名 Poenix 属名フェニックスは本主の古代ギリシア名に由来。
テオフラストスの用例がある。
語源は「フェニキア人」「不死鳥」の二説があるが、
いずれも確証はない。

和名 ナツメヤシ(棗椰子)ナツメのような実をつける椰子の意。

中国名 海棗

鈴なりの黄色の実をつける姿が興味深い。



「平凡社世界大百科辞典」 1988刊のこの項(岸本修著)

「樹高は30メートルに達し、
根も深く張り、乾燥暑熱砂塵にも耐性があり
砂漠化防止に本種は林帯の造成が有効とされている

羽状複葉で
長さ5メートル、
数十枚が幹の頂部に群がる
雌雄異株
雄花部穂は
長い花がらの長短部分で白い小花穂をホウキ状に分枝し
黄白色の小さな花をつける
雌花穂も数百個の小花をつけるため
果実は多数が房状に結実する
成熟果は直径2センチほどの卵形をなし
紅色から黄褐色に熟れる
糖分に富み、乾果は干し柿に類似し
アラブ地域の砂漠の遊牧民の貴重な携行食品である。

メソポタミア付近の原産と推定され、
前3000年ごろには栽培が始まっていた。
現在は中東からアフリカの乾燥熱帯・亜熱帯に多く、
最近になってきたアメリカの乾燥地にも
栽培されるようになった。
生果と乾果は果物としてより主食的利用が多い。

直径50センチメートルにもなる幹は
建材、橋材などの各種用材に、
葉は屋根ふきや繊維の利用がなされる。
果実はジャムやゼリーに利用され
花軸を切断し、それから溢出させた樹液からは、
糖が採取され、また酒が作られる
樹齢は80年に及ぶ

ココヤシと並んで有名なナツメヤシ。

乾燥に強く、砂漠や熱帯地方では最も有用な植物であり、
世界で最も古くから栽培されている植物のひとつです。
実、葉、幹、すべてが有用なので、
古来より富の象徴とされ、
また「生命の樹」として神聖視されてきました。
それは学名にもよく表れています。
フェニックス・ダクティリフェラ・・・
聖なる不死鳥フェニックスの名がつけられている。


2006/03/18 (土)21:00~放送の
日立世界ふしぎ発見!
第954回 モロッコ大紀行 アトランティスの記憶を求めて!!
(毎週土曜日放送中)によると
ナツメヤシは別名 暦の木といわれる。
1年に12枚の葉をつけるからという。

モロッコのアトラス山脈
アトランティスに深い関わりがある
アトラスとは、ギリシャ神話では石にされた巨人を示し、
プラトンによるとアトランティスの王の名・・・。


モロッコ土産のデーツ 


2013年2月21日

ナツメヤシというとメソポタミアというイメージでしたが、モロッコ旅行のお土産にいただきました。
その後楽天を見てみると 、アメリカ産が多かったようです。
でも、「本場」はイランとも・・


本場イラン産セイヤー種 無添加 種抜きデーツ

「生命の木」からとれる、甘みも栄養も満点な自然な贈りものです!米国産デーツ

WEB検索

樹形がよくわかるサイト
https://www.asahi-net.or.jp/~wh4k-bnb/israel/daktilo.html
(イスラエル旅行記


実がよくわかるサイトは
https://www.franco-japonais.com/tomato/epicerie/dattes.html
(マダムTOMOKOのグルメガーデン)
ナツメヤシの実はココヤシに比べるととても小さく、
梅の実のような実が房を作ってぶら下がっています。
この実が棗(ナツメ)の実にそっくりなので、
棗椰子(ナツメヤシ)と呼ばれるようになったのでしょう。
鉄分などの無機栄養分に富むナツメヤシの果実は
熟させて食べるか、乾燥させて保存食とします。


葉がわかるサイト
https://www.geocities.jp/ebi_die/plant/datepalm.htm
うおえんうおえん -UO Encyclopedia-


ボタニカルアート
https://www.france-palmier.com/
especes-rustiques/phoenix-dactylifera.htm
(France)

ナツメヤシ棗椰子の利用

アラブでの利用

「平凡社世界大百科辞典」 1988刊(堀内勝著)

木の実が主食の座を占める例として
ポリネシアのパンノキと並んで、アラブのナツメヤシがある。
現在は都市部では主食の座を降りてしまったが
田舎や砂漠地帯では食生活でまだこれを抜くわけにはいかない。
樹木の乏しい住生活に、幹・枝・葉・繊維とどれをとっても有用で
恵みの物資
産地としては特にヒジャーズ及びイラクが特に有名
後者ではバスラが最大の生産高を誇った
春先から秋までの実の成長は
アラブの生活サイクルを区切るものでもあった
結実から成熟まで大きさ色づき柔らかさを目安にして
17段階にも上る細かな 成長段階別特称が与えられた
太陽の運行ではなく、星・星座の運行と関連させつつ
成長度が計測されるのであり
ナツメヤシによる歳時記が出来上がっていた


WEB検索


The Date, Phoenix dactylifera
https://agronomy.ucdavis.edu/gepts/pb143/CROP/Date/Date.htm

(https://www.rbgkew.org.uk/peopleplants/でも紹介している
カリフォルニア大学の
The University of California
Fruit and Nut Research and Information Center
offers information on dates and many other crops
)

The date palm, its botany
The date palm, its distribution and ecology
The date palm, its archaeology
The date palm, its uses
The date palm, its historical and religious references
The date palm, its nutritional benefits
6つに分けての明快な解説がありました

20170730更新

帝国主義とパーム

Kew Gardens Palm House, London - July 2009
ロンドンのキューガーデンズのパームハウス(椰子温室)

 

1844~48 年:キュー植物園のパーム・ハウス建造
名前のとおり、目的はヤシの栽培にあった。ココヤシ やアブラヤシなどは熱帯植民地の貴重な資源であり、その研究のためだったようだが、それ以上にキュー植物園に威厳を付けるねらいがあったという

植物と文化の歴史社会学的な見地から見て
→ 続く  帝国主義とパーム(20180113)

 

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