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パルメット唐草

palmetpalmette パルメット

『岩波西洋美術用語事典』 Palemtte
「椰子」という意味のラテン語palmaに由来。
古代エジプトに端を発し、ギリシアで広く用いられた文様パターン。
椰子の葉を図案化し、下端を曲線でつないでゆく。
古代ギリシアではしばしばロータスと交互に用いられる。

文様のモチィーフとしてのパルメット

平凡社百科事典(1988 長田玲子)

パルメットpalmette 植物性文様の一つ。
2本に分かれた渦巻きの分岐点を中心に
扇形に開いた形
を言う

palmette - An ornamental motif
based on the palm leaf,
a radiating cluster of petals.
It is often seen in ancient Egyptian
and classical Greek ornament.

法政大学の田中優子さんが
(布の文様の)ロゼットは蓮の断面
パルメットは蓮の正面だという説を出しておられるが、
それはどうなのか、と思う。
それも一説だと思うが、全くナツメヤシをださないのは
納得しがたい。
また平凡社百科事典(1988 長田玲子さん)では
「古代エジプトのロータス文様が起源とされる
植物性文様の一つ
かっては忍冬文とも言われたが
現在は必ずしも忍冬(スイカズラ)の模倣によって
生じたのではなく
空想的な植物文様と見るのが有力となっている」
・・という・・・・
文様事典では
パルメットは棕櫚(ナツメヤシPalm)であり
言葉としてみてもそれが正しく見えるのだが。


法隆寺西院伽藍の 軒丸瓦の名前に

「忍冬紋軒丸瓦」と言う パルメットとも呼ばれる
紅葉のような楓のような葉っぱ模様のものがある
という・・・
※のちほど「忍冬唐草」を調べます。

エジプトでは扇形が左右対称で動きが少なかったが、
それをリズミカルな植物文様としたのはギリシア
である。


ギリシア陶器や墓碑のレリーフに描かれた
パルメット文様はかなり写実的傾向があり、
ぎざぎざな切れ込みのアルアカンサス文様も出現した。

西アジアではパルメットの葉の部分を長くしたり、
巻きこんだり絡ませたりすることによって
多種類の文様を作り出した。
エルミタージュ美術館蔵の銀紀や
クテシフォン出土のスタッコ装飾板など、
ササン朝ペルシアの遺品を初めとして、
広く工芸品の装飾に愛用され、
またザクロやブドウをともなった
美しい唐草文様をも作り出している。


仏教美術でも造型感覚はまだギリシア的であるが、
紀元前3世紀古代インドのアショーカ王石柱柱頭の
レリーフにすでに使われている。

よりインド化された形としては
葉の先端を内側に巻き込んで蕨手(わらびで)形になったもの
がサンチー第1塔の欄楯レリーフなどに見られる。

半パルメットを連続してつないで
唐草にしたものは
石彫り台座や仏像の光背などにいられるが、
葉を反転させる形で表現されている。

パルメット文様が中国へ入ってきたのは
現存する遺例からすると」
5世紀以降北魏と思われるが、
実際はもっと早かったようである。
敦煌石窟の北魏以降の壁画には
多数のパルメット文様が見られる。
これらの形には西域の影響と共に
伝統的な雲文や
きりゅう(まむし・竜)文の影響
がみられ、
パルメット唐草は次第に飛天や神獣
また蓮華とパルメットが一体化して
中国的に展開していく。

唐代になるとパルメットはそれ自体
花のように豊麗な形になり、
いわゆる宝相華(ほうそうげ)文様が生まれる。

こうしたパルメットは朝鮮半島を経て日本へ伝わった。

古墳時代の馬具の装飾文様に用いられているのが
最古であろう。

法隆寺の軒平瓦には三つ葉形や四葉形の
半パルメットが見られる。

仏像の光背や宝冠にも半パルメットの
唐草が多用されている。

薬師寺聖観音像宝髻(ほうけい)のパルメットは
とりわけ簡素で美しい。
正倉院御物の工芸品にも
密陀彩絵小櫃をはじめとして、
多種多様のパルメット文様が見られる。

平凡社百科事典(1988 長田玲子)
g12.jpg
陶器に用いられた装飾

やや角張ったロータス文と扇形のパルメット文
二つの装飾要素が交差するように配置されていたのが
同じものが一つおきに並び、
鎖状に繋がれているのが分かると思います。
またそれぞれの要素が細長くなって、
ロータス文は原形を留めないまでにスリムになっています。
これは580-500年頃の黒像式/赤像式のアンフォラに用いられた文様で、
年代を決定する際の重要な資料のひとつとなっています。

古代ギリシアにおける年代学

 kusatu
(草津水生植物園にて) ⇒唐草図鑑ロータス文様参照

Greek art and archaeology ((c)Yoji Horikoshi)
https://www2.ocn.ne.jp/~greekart/chrono/chrono.html

palmetteパルメットはスイカズラか??


参考サイト
Illustrated Architecture Dictionary
https://ah.bfn.org/a/DCTNRY/p/palmette.html
Buffalo as an Architectural Museum

Palmette

Webster's 1913 Dictionary によれば、 Palmette

A floral ornament, common in Greek
and other ancient architecture;
-- often called the honeysuckle ornament.

Palmette is also known as anthemion,
a Greek word for flower.
Anthemion
Alternate name: Honeysuckle ornament

A classical ornament featuring
honeysuckle or palmettes with foliage below;
used singly on antefixes
(ornamental blocks concealing tile-ends
at the edges of a roof),
or as a running ornament on friezes

Greek: "anthemion" - a flower
anthemion

One type of ancient Greek
palmette resembles honeysuckle flowers,
another is more like a palm leaf.
Both were used in bands of anthemion ornament.

大英博物館のCONPAS

Black-figured amphora (wine-jar)
signed by Exekias as potter and attributed to him as painter

me 『オックスフォード西洋美術事典』から追加

ロータス・パルメット

『オックスフォード西洋美術事典』 Lotus and Palmette
古典的なアンテミオン文様による建築装飾。
この装飾は、メソポタミアの「聖なる樹」に由来するパルメットと(小さなヤシの葉の尾つなぎ文様)とエジプトのロータス(蓮の花の文様}とを交互に組み合わせて構成される

→アンテミオンanthemion.html

唐草図鑑 palmetteパルメット
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