唐草図鑑
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ロマネスクの美術

ノートル・ダム・デュ・ポール教会
(Basilica of Notre-Dame du Port)

 

エミール・マールの『ロマネスクの図像学』
第1章の図版・・・38
翻訳者追加の教会の全景写真他の図版・・6

プシコマキア(魂の戦い)

 

図19.プシコマキア、ノートル・ダム・デュ・ポールの柱頭、クレルモン・フェラン
20.プリコマキア、ブリュッセル国会図書館(11世紀の写本)

(p45)他にはみられない特色を示す柱頭
美徳=戦闘的(女性・・やがて騎士になってゆく)
悪徳=野蛮人

Basilique Notre-Dame du Porten.wikipedia
※全体は以下で確認できます.悪徳はヘビを持っている。
エミール・マールは「人間の全ての低劣な本能を擬人化した半獣神」とするが、このあたりはどうも??すぐには頷けない。キリスト教徒対古代の異教徒の図ではあろうが。
教会の詳細な画像のコレクション・・
http://www.romanes.com/Clermont
http://www.art-roman.net/ndport/ndport.htm

プルデンティウス(348‐405):5世紀初めに活躍したキリスト教徒のラティン詩人以後最大のキリスト教ラテン詩人。
Prudentius' "Psychomachia" (Battle of spirits) 詩『プシコマキア』は、ギリシャ語の単語プシュケ(魂)から派生
キリスト教美術だけでなく世俗的な芸術のためのインスプレーションの源ともなった。ダンテ、ハンスメムリンクにも影響(http://de.wikipedia.org/wiki/Psychomachia
鎌田伊知郎さんの論(http://koara.lib.keio.ac.jp/PDF)によれば、ミラノ勅令(313年)にローマ帝国がキリスト教徒との敵対関係を解消することには、キリスト教徒の古典古代的(異教的)教養に対する台とにも変化が生じ、ローマ帝国のみならず、古典古代的教養をもキリスト教化し、独自のキリスト教的教養を形成しようとする動きが本格化しした。ヒエロニュムス(347年頃~419/20)がその端的な例。プルデンティウスはヒエロニムスの同時代人

図21.エゼキエルの予言、ロアイアRoyat(ピュイ・ド・ドーム県 Puy-de-Dôme.)の柱頭
22.エゼキエルの予言、『ノアイユの聖書』と呼ばれるローダの聖書、パリ国会図書館(latin 6)

wikipedia:エゼキエル書
モモ先生の「キリスト教美術を楽しむ」のページ(ローダの聖書からの図があり)

F08.N.-D. du Port.0071.jpg
F08.N.-D. du Port.0071“ von Jochen Jahnke aus der deutschsprachigen Wikipedia.
Lizenziert unter CC BY-SA 3.0 über Wikimedia Commons.

F08.N.-D. du Port.0112.jpg
F08.N.-D. du Port.0112“ von Jochen Jahnke aus der deutschsprachigen Wikipedia.
Lizenziert unter CC BY-SA 3.0 über Wikimedia Commons.

図23.イザヤの幻視、神殿の奉献、イエス・キリストの洗礼、ノートル・ダム・デュ・ポールの扉口、クレルモン・フェラン
24.イザヤの幻視、コスマス写本、ヴァティカン図書館
コスマス・インディコプレウステスhttps://kotobank.jp/

(p51)我々が七世紀のクレルモンの扉口に見出すイザヤの幻視の威厳に満ちた左右相称の構図は、六世紀のアレクサンドリアにおいて生み出されたもの。
この原形が写本によって忠実に次々に伝えられてゆき、その写本の一つから十二世紀の彫刻家は彼の構図を借りたのだ。

ギリシア的表現

(p52)アレクサンドリアのカタコンベの壁画に、パンの増加の奇跡の構図が、ヴァランスの大聖堂の古いタンパンとまったく同じ形式で示されている。アレクサンドリアの画家の構図は写本から写本へと引き継がれ、、11世紀まで伝わっていたのである。

図25.パンの増加、ヴァランス(ドローム県)の大聖堂の旧扉口の楣石 
26.パンの増加ナジアンゾスの聖グレゴリオスの写本挿絵、パリ国立図書館

※ヴァランス大聖堂Saint Apollinaire de Valence
※ナジアンゾスのグレゴリオスWikipedia(329- 389)ギリシア教父、
4世紀の東ローマ帝国のキリスト教神学者、聖教会では特に崇敬された


オリエントの荘重な芸術的特質の刻印

図27.霊魂を受け取る三人の族長、アルルのサン・トロフィームの扉口

(p52)アルルのサン・トロフィーム教会の正面はシャルトルの「荘厳のキリスト」(北フランス芸術)の模倣であるが、ビザンティン絵画から来たとしか考えられない一つの特徴が認められる。三人の族長アブラハム、イサク、ヤコブによって天国が擬人化されているという点。

※サン=トロフィーム教会 (Cathédrale Saint-Trophime d'Arles)
※→馬杉宗夫さんの「キリスト表現」解

図28.供物を捧げるカインとアベル、ニームの大聖堂
29. 供物を捧げるカインとアベル、宮殿図書館、イスタンブール

(p56)人物の左右相称性、捧げ物を載せる薄布、天から現れる神の手などといった特異性は、オリエントの荘重な芸術的特質の刻印である 


再掲:第1章の図版・・・38
翻訳者追加の教会の全景写真他の図版は・・6

このページにて、図版19~29を見て います。
図版1~18はこちらで見ました。) 
最後はこちらで図版30~38を。 

  エミール・マール『ロマネスクの図像学』(下)を読む 、に続く
アーウィン・パノフスキーを読む
古代ギリシア芸術(4様式)

神話学のアウトラインギリシア神話の美術研究に続く・・

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