唐草図鑑
聖樹聖獣文様  

E・パノフスキー 

Iconology

meエルヴィン・パノフスキーの『イコノロジー研究』・・副題は「ルネサンス美術における人文主義」
蛇に巻かれた人時の翁の関係大いにあり、 とっくに見ていたと思ったのですが、まとめてなかったようです・・

手元にある大学図書は、ちくま学芸版でなく、美術出版社(1971)刊の方で、下の表紙カバーは無し・・

「イコノロジー」という語は、ワールブルグのページで見た(※1)が、ワ―ルブルグ(1866-1929) が提唱し、その後、パノフスキー(1892-1968)が「理論化を進めた」・・ということでよいだろうか・・ (※2)

※1(再掲)イコノロジーという言葉の使用の嚆矢は、 1593 寓意図像書「イコノロギア」チェザレ・リーバ著で (神々の姿形で概念を覆い隠そうと意図された衣服)
※2(再掲)エルヴィン・パノフスキー(Erwin Panofsky, 1892- 1968)はドイツ出身の美術史家。ワールブルクの高弟にしてイコノロジーを完成させた
英語読みでアーウィン・パノフスキーとする表記もある。
(→神話学のアウトラインの復習も参照)

リーパのイコノロジア

Erwin Panofsky(Wikipedia.en)独逸 美術史家
アルブレヒト・デューラーを中心とする北方ルネサンス研究で知られるほか、彼が理論化をすすめたイコノロジー(図像解釈学)は、20世紀の美術史学にとって「様式論」と並ぶ最も重要な方法論となった

アメリカ時代の代表的な著作には、その後の美術史学を長く決定づけるマニフェストとなった『イコノロジー研究』(1939年)を筆頭に、デューラー研究の集大成となった『アルブレヒト・デューラー』(1943年)、『ゴシック建築とスコラ哲学』(1951年)、『初期ネーデルラント絵画』(1953年)、『墓の彫刻 古代エジプトからベルニーニに至る変遷』(1964年)と、その研究主題は広範囲に及んだ

Michael A. Holly: Panofsky and the Foundations of Art History (Cornell UP, 1984)
STUDIES IN ICONOLOGY:Themes in the Art of the Renaissance (1962)

Studies in Iconology (1939)
『イコノロジー研究 ルネサンス美術における人文主義の諸テーマ』
浅野徹・阿天坊耀ほか2名訳、美術出版社、1971年
/筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉(全2巻)、2002年

内容(「BOOK」データベースより) イコノロジー研究とは、ひとことでいえば美術作品の意味の探求だといえよう。つまり美術作品を、ある時代の人間精神の一般的本質的な傾向がそこに表われているある種の徴候として、とらえようとする研究態度である。こうした新しい視点をもって美術史を一つの解釈の学として基礎づけようとしたのが本書である。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
パノフスキー,エルヴィン 1892‐1968年。ドイツ・ハノーヴァー生れ。1926年よりハンブルグ大学に在職、ヴァールブルグ研究所との交流をもち、図像解釈学の手法を用い、広範な分野において文化史的美術研究を進める。1931年より渡米、ニューヨーク大学、プリンストン大学、ハーバード大学などで教鞭をとる

E・パノフスキーを読む

 以下、『イコノロジー研究』の簡単な目次

序文
1.序論 p3-33
2.ピエロ・ディ・コシモ p35-64
3.時の翁 p65-84
4.盲目のクピド p85-109
5.新プラトン主義 p111-143
6.ミケランジェロ p145-195
追録

この 200ページの後に、
原註が p203~314 113ページ!続き、
図版と挿図目次が p315~323
訳者あとがき(浅野 徹)4ページ
参考文献目録 p324~344
索引 p345~374

・・・というわけで、半端ないのである。
よって、興味の中心だけを詳細に・・

(p65-84)キーワードピックアップ

3. 時の翁

 時の翁像の展開
古典のアイオンと中世のサトゥルネスの混合


掲載の図は34図

カイロス
ファネス(モデナ)
サトゥルネス
ジロラモ・オルジァーティ「錬金術の寓意」
ラバヌス・マウルス「百科全書」


時の凱旋

  クピドの翼を切り詰める時、円板を持つ時、オベリスクを持つ時、真理のヴェールを剥ぐ時
破壊者としての時
潔白の証明
フローラ
「プロセルピナの誘拐」(デューラー)
怠惰の寓意
アンジェロ・ブロンツィーノ 「逸楽の暴露」
ニコラ・プッサン 「人生の輪舞」、「ヘリオスの前のフェトン」

WEB検索

me よく見ると、ワードプレスでちょっと抜き書きを書いておいたようだった(3年中断している ) https://karakusamon.com/wp/
(以下に再掲して続ける)
(人名などの表記は美術出版社の訳書に従う)

なお、
こちらに、
 『イコノロジー研究』の図版、画像集、として 画像をよく見ておられる方の頁がありました
https://cesareborgia.///ErwinPanofsky

さらに上記サイトからのリンク先も必見!
ALEMBIC THOUGHT
El Arka
Museo Galileo
Pythagorean Tarot
THEOI GREEK MYTHOLOGY
The Roman cult of Mithras

 

me 膨大な著書『イコノロジー研究』の中で
私のテーマはとにかく、「時の翁」・・・以下抜き書き要約

ルネサンス美術やバロック美術においては、「時の翁」は通常 をもち、たいてい裸である。大鎌か手鎌という彼が最も多くの場合に携えている持物の他に、砂時計、自分の尾をかむ蛇もしくは龍、黄道十二宮などが付け加えられたり、あるいはそれらが大鎌や手鎌の代わりとなることもある。松葉杖をついている例も多い。(p67)

こういった一層手の込んだイメージが持つ特徴のいくつかは、古典期や古代末期に「時間」の観念を表した美術作品のうちに見出すことができるが、しかし近代的な意味での「時の翁」の類型を成り立たせる独特の組み合わせは、古代美術中には全く見出されない。

古代美術における時間の概念とそのイメージについての二つの主要な類型・・

一つは、「時間」をカイロスとして表したもの・・ 人間の人生もしくは宇宙の進行における転換点となる短い決定的な瞬間 →俗に《機会》、走り過ぎる男の姿(若者)・・両肩と両踵に翼をもつ、持物は天秤で、もともとは剃刀の刃の上に、少し後には1,2個の車輪の上に載っていた。 さらに、禿頭の《機会》を捕まえるのにつかんだと言われる有名な前髪があった。 この像は11世紀まで生き残ったが、その後カイロスにあたるラテン語ocasio(機会)がイタリア語のfortuna(運命)と同性であることも与って《運命》の像と混交するようになった

もう一つ、カイロスという観念と正反対の観念 永遠にして無尽蔵な創造の聖なる原理、すなわち「アイオン」というイラン人の時間の概念 →ミトラ信仰と結びつく場合は、ライオンの頭と爪を持ち大蛇にきつく巻きつかれた、どちらかの手に鍵を持った不気味な有翼像となり、 また、普通ファネスとして知られるオルフェウス教の神を表す場合には、黄道十二宮にとりまかれ宇宙的な威力を示す多くの持物を身につけ、蛇が絡みついている美しい有翼の青年像を示す

これらの古代美術作品には、砂時計、大鎌、手鎌、松葉杖、ある意は特に老齢を示す特徴などを見つけることができない

「時間」の古代的イメージは 素早過ぎ去る様や危うい釣合いの象徴によるか、普遍的な威力と無限の豊穣の象徴によるかによって性格づけられていた

「時の翁」の最も特殊な属性・・退廃と破壊の象徴はどのように導入されたのか?

その答えはギリシア人の時間を意味する言葉「くろのす」が神々のうちの最長老でしかも最も恐るべきクロノス(Kuronos  ローマのサトゥルヌス)の名と非常によく似ていたということにある 農耕の守護神であるクロノスは通常、手鎌を持っていた、ギリシアとローマのパンテオンの長老であるから、彼は当然老人の姿をしていた 宗教的な崇拝が次第に崩れてついに哲学的な思索に成り変わった時、「くろのす」と「クロノス」という二つの概念が、実際にも同一のものである証拠として、これら二つのことばの偶然の類似が挙げられるようになった(p68)

プルタルコスによると、ヘラが「大気」を、へファイストが「火」を意味するのと同様、クロノスは「時間」を意味する

新プラトン主義者は、この同一性を物理的というよりはむしろ形而上学的な立場で受け入れた 紀元後4-5世紀の博学な著作形は、自分の尾をかむ蛇ないし竜のような新しい持物をクロノスに与え、その時間的意味を強調するようになった

クロノスが自分の子らを食ったという神話は、《時》が創造したものを皆食いつくすという意味を示すものと考えられるようになった
古典美術のクロノスは多少陰鬱な人物に表わされているが完璧な威厳を与えられている

中世時代に変化が起こった

中世盛期
惑星を司る支配者としてのクロノス
惑星のうちでもっとも不吉、冷たく乾いているサトゥルヌス
オックスフォード事典 saturnine~ 「不活発で陰鬱な気質」

15世紀末
フィレンツェの新プラトン主義者たちが、プロティヌス的な考えに復帰
サトゥルヌスを深淵な哲学的・宗教的瞑想を代表する人物とみなし、ユピテルを純粋な実践的・合理的知性をみなした(ga)

占星術上の画像では「瞑想的生活」の低次の代表者
神話上の挿絵では残忍性と破壊性、去勢と食人場面
・・好もしからざる内容を表現することをやめなかった

ペトラルカの『凱旋歌集』の挿絵
≪愛≫は≪純潔≫に、≪純潔≫は≪死≫に、≪死≫は≪名声≫に、≪名声≫は≪時≫に打ち負かせられ、≪時≫はただ≪永遠≫だけに征服される
ペトラルカは≪時≫の外貌について、「決して休むことなき先導者(=太陽)に身も軽く従いゆく」徒だけしか描写しなかったので、≪時≫をどのようのような形であれ、好きに表現することが画家たちに委ねられた 

画家が無害な中世の ≪時≫の擬人像にサトゥルヌスの不吉なイメージを融合しようとしたのも不思議ではない

これが我々の知るごとき「時の翁」の像の起源なのである
古典的かつ中世的、西洋的でかつ東洋的な性格が一つに入り混じった像 

この複雑性こそがルネサンス美術とバロック美術における「時の翁」像の頻繁な出現を種々様々な意味を明らかにする(p74)

≪時≫は、諸能力の中でも第一に大鎌を振りひらめかし食人種的で凄惨なサトゥルヌスの特徴をわが物としたために、ますます≪死≫と密接に結びつくようになった(p75)

me ここまでで・・34図の名から「時の翁」4つを

 

'Justice Liberating Innocence' by Bronzino
図61 「ブロンツィーノの潔白」

"Justice Liberating Innocence"
tapestry, designed by Agnolo Bronzino, early 1546,
collection of Depositi Arazzi, Palazzo Pitti, Florence.

フィレンツェのガレリア・デリ・アラッツィのタピストリー

https://www.artres.com/

潔白≫が
四匹の野獣、(妬み、激怒、貪欲、裏切りを表す、ライオン、オオカミ、蛇によって象徴される悪の諸力の脅かされている。
(p75)

≪潔白≫は
地獄から魂を救うキリストの身振りに意識的に似せられた剣と秤を持つ≪正義≫に助けられる

一方背中に砂時計を載せた翼をもつ≫は、
かってある著作家がそう呼んだところの「若い娘」を抱いている
しかし実は、≪時≫は単にこの娘を抱いているだけではなく、そのヴェールを取り外してもいるのであって、
かくて彼女自身≪真理≫の擬人像であることが明らかになる

したがって、この図には,「時と真理」の主題にもとづく三つのそれぞれ関連を持つ物語、すなわち
「時によって救われた真理」
「時によって覆いを取り去られた真理」
およびルキアノスが記述したあの名高いアペレスの主題である「迫害の後に濡れ衣が晴らされた潔白」が
一図中に混在している(p76)

対となっている「フローラ図」は組み合わせとしてしっくりいったものではない
イコノグラフィー的に組み合わせるのに格好のブロンツィーノの作品は「寓意図」(✳図66) をおいてほかはなかろう(p77)

Angelo Bronzino - Venus, Cupid, Folly and Time - National Gallery, London
図66 アンジェロ・ブロンツィーノ「逸楽の暴露」
ロンドン ナショナル・ギャラリー
(図61と同じ1546年頃の制作)

ヴァザーリの記述
「彼は一枚の特異な美しさのある絵を描いたが、それはフランス国王フランソワに送られた」「その絵には
裸のウェヌスと彼女に接吻しているクピドが描かれており、この二人の一方の側には
快楽 Piacere と
戯れ Giuoco と ほかのクピドたちが、またもう一方の側には
欺瞞 Fraude と
嫉妬 Gelosia とほかの愛の情欲たちが描かれていた

ヴァザーリの記述は絵がフランスに行ってしまっていたので記憶で書かれているので、絶対に誤りのないものとは言えないが。それなりにきわめて納得のいくもの(p78)

中心人物は 矢と林檎を持つウエヌスと彼女を抱擁するクピド 

優雅で淫らな二人の左側に狂おしく髪をかきむしる老女(嫉妬)
魔除けの小鈴のついた足輪を左足首にはめた男の子(快楽と戯れ)

「視覚的解釈学——イコノロジーを巡る諸問題—
Visual HermeneuticsProblematics around Iconology
https://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~okutsu/
 

⇒「嫉妬から梅毒患者へ」(売春婦)

仮面(物欲、不誠実、偽りの象徴)が一つならず二つ存在 
若い女の仮面と老年の悪意のこもる男の仮面
若さと老齢、美と集

ハルピュイア「緑の服の少女」 (欺瞞)
16世紀の図像学家(イコノロジスト)たちが、
陰謀 Inganno,偽善 Hippocrisia、中でも欺瞞 Fraude という三つの表題の下に記述した偽善的な虚偽の特徴を一つの像に要約し、また視覚的な標尺ともいうべきものをやりおおせている

魅惑的であると同時に不快なもの

鱗のある魚のような身体、ライオンか豹の爪と、竜か蛇の尾
一方の手で蜜蜂の巣を差し出し、もう一方の手には毒のある小動物を隠している
右手(善い手)とみえるのは左(悪い)手で、実際は善い手に毒を隠している 巧妙な倒錯した二重性の象徴が掲示されている(p80)

群像全体は、あてにならぬ快楽と明白な悪の擬人像や象徴に取り巻かれた「逸楽」を表している。そしてこの群像は今や≪≫と≪真理≫(=時の娘)によってヴェールを剥ぎ取られているのである(p80)

左側でこの全光景の幕を引きあける手伝いをしている女性は≪真理≫(=時の娘) (※)
≪時≫(老クロノス)の男性的な激怒に呼応して、女性らしい嫌悪感を示している

「視覚的解釈学——イコノロジーを巡る諸問題—
Visual HermeneuticsProblematics around Iconology」 例題としての『ロンドン・アレゴリー』
https://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~okutsu/
 

※「現在では、この人物が、「真理」ではないことは定説化し、パノフスキー自身も、1962年の『イコノロジー研究』の再刊に際して、ヴァルター・フリード レンダーの助言に従って、それを「これは「ヴェイルを剥ぐ」プロセスを妨げ ようとする「夜」の擬人像としたほうがよりふさわしそうである」 と認めている。」

me これについて、若桑みどり『イコノロジー入門』(NHKブックス1993)では、、最近の修復でパノフスキーのいう「真理」が仮面をつけていることが明瞭になったという(p130) 岡田温司監修『聖書と神話の象徴事典』(ナツメ社2011)の解説と合わせてこちらに続く

一方は「潔白の証明」をもう一方は「逸楽の暴露」を示す
図61と対になり、「虚偽の仮面を剥ぎかつ真理を明るみのもとに引き出す」という「本性を暴くものとしての時」の二重の機能を描き出している(p81)

様々な宇宙の原理として「時間」は、
詩においてはオルフェウス教の唱歌から
エドナ・セント・ヴィンセント・ミレーや
オフダス・ハクスリ、
哲学においてはゼノンからアインシュタインやヴァイル、
美術においては古典古代の彫刻家や画家からサルバドール・ダリに至るまで、さまざまな人々によって描写されてきている

ペトラルカの挿絵画家が発展させた≪時≫のイメージと「黙示録」の幻想とが融合している壮大な概念がスティーブン・ホーズの『快楽の戯れ』に見られる。

しかし時間の概念の持つ底深さと広さ、恐怖と超絶性に最も脅かされた時代は、バロックの時代を置いてほかにない。
この時代において人々は神の特権としての無限にではなく宇宙の特性としての無限に自分自身が直面していることに気づいたのである。
シェークスピア一人だけで十二以上のソネットと『ルークリースの凌辱』中の十一もの説に≪時≫に対する懇願、挑戦、叱責、征服をうたっている
彼は数世紀にわたる思索と感情を凝縮し又凌駕している

視覚芸術に在っては、一人のよりデカルトに近い精神の持ち主が宇宙的な力としての≪時≫の最高のイメージを作ることになった
二コラ・プサンである

Nicolas Poussin - Helios and Phaeton with Saturn and the Four Seasons

Helios and Phaeton with Saturn and the Four Seasonsベルリン美術館
 図67

プサンは、その手本に選んだオウィディウスの記述に登場する、それぞれ個別の特徴を示す多数の擬人像(すなわち 日、月年、世紀、時間の擬人像たち)を「時の翁」像だけで代表させている。 

The dance to the music of time c. 1640
A Dance to the Music of TimeThe Wallace Collection
図68

人間の姿であらわされた一種の「運命の輪」ーにおいては、人間の社会的運命という免れがたい循環を形作るさまざまな力―≪貧困≫は≪労働≫と、≪労働≫は≪富≫と≪快楽≫と、≪快楽≫は再び≪貧困≫と手を組む―が,≪時≫の弾く竪琴の調べにつれて踊り、また一方では一人の幼い子供が、≪時≫の砂時計をもてあそび、もう一人の子供は儚さと無益さを暗示するシャボン玉を吹いている。
そしてこの全画面は馬車を駆って黄道を通過する太陽神の悠然たる運航によって支配されているのである(p83)

「時の翁」像の展開は二つの点で興味深い
それは、 一見純粋に古典的な性格のものとみえるイメージの中に中世的な諸特徴が侵入していることを立証するものであり、
また、狭義の「イコノグラフィー」と内的・本質的意味による解釈との関係を説明するものでもあるから

「時間」がつかの間にすぎる≪機会(カイロス)≫か、
創造力を有する≪永遠(アイオン)≫かのどちらかとしてだけ現されていたところに古典美術の特徴がある

それに対してルネサンス美術の特徴は、中世の≪時≫の擬人像に恐るべきサトゥルヌスの像を融合させることによって、「破壊者としての時」のイメージを産み出し、これによって「時の翁」という類型にさまざまな新しい意味を与えた
偽りの勝ちを破壊することによってのみ、≪時≫は≪真理≫の被っているヴェールを取り除く役目を果たすことができる。
改変の原理であることによってのみ、≪時≫はその真に普遍的な威力を示すことができるのである

プサンの時の表現ですら古典芸術のそれとは異なっている
彼は≪時≫の創造力を強調するために、≪時≫の破壊力を抑えようとはせず、これらの対照的な機能を一体に溶け込ませているのである。彼をもってしても、≪時≫のイメージは古典のアイオンと中世のサトゥルヌスとの混合にとどまっている(p84)

「時の翁」像は、本来独立した二つの要素が入り混じったもの(p85)

me ここまでである。
私にはブロンツィーノは不快だし、プサンは何か暢気で・好き嫌いでいうと、好きでなかった・・
認識を新たにすべきかどうかもともかく、
このあと・・今までの頁(アイオン)にもどることにしたいが、パノフスキーのこの著にある、「人文主義」もともかく、「新プラトン主義」も今一度ざっと意味を見ておいた方が良さそう・・パノフスキーを読めば、ミケランジェロが新鮮に見えるということ・・進むとしたら、「葬礼美術」「擬人像」がキーワードであろう・・ルーブルの「奴隷」像

クロノス⇒greece/kronos.html
アイオン⇒aion.html

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