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希臘(Greek)美術史

meギリシャ美術史入門です・・
『ギリシャ美術史入門』 中村 るい (著), 加藤 公太(作画)–三元社(2017)は
「全体像を優しく学べる」という紹介だが、ざっとみて、コラムや年表がわかりやすく、入門にワクワクします。

古代希臘の文物(文様/文化/象徴)

ギリシャ美術史入門


「ギリシャ美術史入門」 中村 るい (著), 加藤 公太(作画)–三元社(2017) 

me
2017年12月の刊だが、2020年10月にその2が出ている。
「全体像を優しく学べる」という紹介だが、その通り。ざっとみて、コラムや年表がわかりやすく良い、と思ったが、前書きの「はじめに」なども読ませる。
ワクワクする感じ。
・・なので、ここで、辿っておきたい。
なお、著者の翻訳書
『ギリシャ美術史―芸術と経験』(J・J・ポリット著、中村るい翻訳、ブリュッケ2003)も
「1972年の刊行以来、22刷を数えたロングセラー!美術作品を時代の思想背景と結びつけて語り、文化の一部として美術を考える。最良のギリシャ美術案内」という。読むことにしたい。いや一応見てはいました。
「クラシック」な美術とはいったい何か? ../greece/g_art-experience.html

me ギリシアとギリシャの表記の違い・正誤が気になりますが・・(wikipedia)によれば、(以下引用)
ギリシャとギリシアの表記法について、日本語ではGreekの表記が「ギリシャ」と「ギリシア」で揺れています。 国名としては「ギリシャ共和国」とすることが多いようですが、西洋古典学・歴史学・哲学などは「ギリシア」と表記する慣行を取っている。
‥という事だが、この本のタイトルは、『ギリシャ美術史入門』であった・・

[目次]

はじめに
第1章 古代ギリシャと西洋美術
第2章 エーゲ美術 ―クレタ島とテラ島
第3章 トロイ神話と発掘
第4章 陶器の世界 1
第5章 陶器の世界 2
第6章 アルカイック期の彫刻
第7章 デルフィ ―アポロの聖域
第8章 オリュンピア ―ゼウスの聖域
第9章 クラシック期の彫刻と絵画
第10章 パルテノンとフェイディアス
第11章 クラシック後期からヘレニズム
おわりに

[コラム]

ギリシャの神々
ローマン・コピー→
現代から過去の美術品を解釈すること、引用すること
文学(ホメロスほか)
発掘調査の実際と研究所生活
陶器の形と用途
黒像式・赤像式の絵付けの技法
ギリシャ世界の男性観・女性観
古代ギリシャの衣裳
文様→※nr.mouyo.html
石膏デッサンとギリシャ彫刻
神殿建築の構造と建築様式
新古典主義(ギリシャ回帰について)
彫刻への彩色
黄金分割の概念と身体尺

裏表紙画像は


図39 陶器(黒像式)エクセキアス《アキレウスとペンテレシレイア》 前540~530年頃 大英博物館(ロンドン)
書き起こし図(加藤 公太作図)

Exekias - ABV 143 1 - Achilleus and Penthesilea - Oinopion and Dionysos - London BM 1836-0224-127 - 04

ギリシャ美術史年表

me 『ギリシャ美術史入門』本文には106の図像が挙げられているが、
うち28が最後のギリシャ美術史年表(p209‐219)の下部に描かれているので、重点的にみておきたい。
いずれもよくお見かけします。


青銅器時代(前3600‐前1100年頃)

p209

図15 《蛇の女神》 冉1600年頃 クノッソス(クレタ島)出土 ファイアンス イラクリオン考古博物館(クレタ島)→ goddess.html

図17 《若い猟師》 前16世紀後半 テラ島出土 フレスコ テラ先史博物館(テラ島)

図21 《サフラン摘みの少女》 前16世紀後半 テラ島出土 フレスコ テラ先史博物館(テラ島)

いわゆる<暗黒時代>(前1100~前900年頃)

me 「いわゆる」とは→(wikipedia)によれば、
古代ギリシャでミケーネ文化が繁栄していた時代、「前1200年のカタストロフ」をきっかけに文化は崩壊、それまで使用されていた線文字Bも使用されなくなり文字資料が乏しくなった。
この状況はギリシャ人とフェニキア人が接触することによりアルファベットが成立してエーゲ海地帯に普及するまで続く。

この時代は文字資料が存在しないためにその時代背景が不明なために暗黒時代と呼ばれている側面がある。
「暗黒時代」と呼ぶことが不適切であるとする学者も現れ、「初期鉄器時代」と呼ぶことが一般化しつつある。また、暗黒時代の存在自体を疑問視する意見も存在する。

幾何学様式時代(前900‐前700年頃)

p210

図32《黄金のマスク》(通称《アガメムノンのマスク》)前1500年頃ミュケナイ出土 国立考古博物館(アテネ)

図49《馬》前750年頃 ブロンズ 奥立古代美術館(ベルリン)

図27 レリーフ装飾のある大型陶器《トロイの木馬》(通称《ミコノスのピトス》)前670‐650頃 ミコノス考古博物館(ミコノス島)

図50 《スニオンのク-ロス》 前600~590年頃 スニオン岬出土 大理石 国立考古博物館(アテネ)

アルカイック時代(前700‐前480年頃)

p211

図6 《ディピュロンの首》前6世紀 大理石 アテネ国立考古博物館

図56 《ランパンの騎士》 前550年頃 大理石 アクロポリス美術館(アテネ)及びルーブル美術館
(頭部はルーブル美術館の所蔵で、アクロポリス美術館ではコピーで補っている)

図34 陶器(黒像式)エクセキアス《アキレウスとアイアースの将棋図》 前540~530年頃 ヴァチカン美術館(ローマ)
書き起こし図(加藤 公太作図)
『ギリシア陶器』(エリカ・ジーモン)の77図ゴンブリッジも挙げる厳選アッティカ陶器

図44 《戦場から英雄サルペドンを運ぶ死と眠りの神》

時代区分用語

(おさらい:出典はwikipedia)

三時代区分
人類文化を主要利器の材料によって,石器時代青銅器時代鉄器時代の3時代に分類する区分法。

前1200年のカタストロフ(前1200年の破局とも)」

「初期鉄器時代」前11~8世紀前後の時期(髙橋裕子【ギリシア考古学】)

「前8世紀のルネサンス」
暗黒時代を通して受け継がれていたミケーネ文化の要素は前8世紀に至り、再び光明を受けることになる。

文字の使用

NAMA Alphabet grec
アルファベットの描かれたつぼ、アテネ国立考古学博物館所蔵
アルファベットの最古の文章は紀元前8世紀の壺に刻まれたものであるが、前776年がギリシャ史において初めて文字が使用された年であることが確定されている。 これはギリシャ人らの間では初めて古代オリンピックが開催された年と考えられており、古代ギリシャの文献の多くはこの年を基準としている。いわば、前776年がギリシャの先史時代の終わりであり、有史時代の始まりとなる。出典:暗黒時代 (古代ギリシア) - Wikipedia

Kouros' Head to horse, Acropolis' museum, Athens
Kouros' Head to horse, Acropolis' museum, Athens

ギリシャ美術史年表(2)

me クラシック時代として
紀元前5世紀を3つに区切っているのは、初見であった。
(4世紀は「後期クラシック時代」としている。)
→初見というのは記憶違いで、本書の著者の訳書( J・J・ポリットの『ギリシャ美術史―芸術と経験 』)にありました。(時代名は違う)→もう一度見ます‥

以前のMYページ: 2014k/greekart.htmlでは、
「古代ギリシア芸術(4様式)」(紀元前900年~紀元前30年)のうち、
クラシック時代は「(紀元前500年~紀元前330年頃)」とのみ。
『新潮世界美術事典』(昭和60年-1985 新潮社)でも、 ギリシア美術4発展段階という言葉であるが、
「クラシック美術(前5‐前4世紀)」と大づかみ。
『オックスフォード西洋美術事典』(1989 講談社)では、
時代区分は、通常4期に分けられるという事ではあるが、少し細かく、
クラシック(古典)時代は、前480~前323とある。
小学館の『世界美術大辞典』(第2巻-P164)では、
古典期=前450‐前323で、アレクサンダー大王が死んだ年を 一期 いちご としていた。

me

クラシック時代<厳格様式期>(前480‐前450年頃)

p212

Ancient Greece Marble Base for a Funerary Kouros, c. 510 BC (28462011556)
図57Ancient Greece Marble Base for a Funerary Kouros, c. 510 BC


図41ソシアス アキレスとパトロクロスのギリシャの花瓶の絵

「側面から見た目を書こうとした表現しようとした・(p90)

図28

クラシック時代<パルテノン期>(前450‐前430年頃)

p213

図73《クリティオスの少年》前490~480年頃 大理石 アクロポリス美術館(アテネ)<
「150年以上続いてきたク―ロス像の左右対称性と正面性を打ち破った作品」(p144)
世界大百科事典(第2版)に掲載
青年立像(BC 480)(wikipedia)コントラポスト

図60《デルフォイの馭者》前478/474年 ブロンズ デルフォイ考古博物館

図78ミュロン《円盤投げ》ローマンコピー 原作前450年頃 大理石 国立考古博物館(アテネ)

図79ポリュクレイトス《槍を担ぐ人》ローマンコピー 原作前440年頃 大理石 国立考古博物館(ナポリ)

クラシック時代<豊麗様式期>(前430‐前400年頃)

p214

図81ペンテレイシアの画家《アキレウスとペンテレイシア》前460~450年頃 国立古代美術館(ミュンヘン)

図82アキレウスの画家《アキレウス》前445~440年頃 ヴァチカン美術館(ローマ)

図85パルテノン神殿南メトープ《ラピタ人とケンタウロスの戦い》

図95パイオニオス《ニケ》前420年頃 大理石 オリュンピア考古博物館

クラシック時代<豊麗様式期>(前430‐前400年頃)

p214

図81ペンテレイシアの画家《アキレウスとペンテレイシア》前460~450年頃 国立古代美術館(ミュンヘン)

図82アキレウスの画家《アキレウス》前445~440年頃 ヴァチカン美術館(ローマ)

図85パルテノン神殿南メトープ《ラピタ人とケンタウロスの戦い》

図95パイオニオス《ニケ》前420年頃 大理石 オリュンピア考古博物館

ギリシャ美術史年表(3)

me

後期クラシック時代(前4世紀)

p215

図100プラクシテレス《トカゲを殺すアポロン》

図71《プラクシテレスのヘルメース》

図98《デルフォイの御者》

ヘレニズム期(前320年~)

p216

図102《サモトラケのニケ》

図105《ミロのヴィーナス》

図103《ラオコーン》

「ローマンコピー」の功績

me コラム2

ローマンコピーとは、ローマ時代につくられたギリシャ彫刻の複製品のこと。
ギリシャ彫刻の原作(オリジナル)が失われたあと、ローマンコピとは、単にギリシャの名作の複製像というだけでなく、ローマ人の美意識の変遷と、彫刻工房の技術を伝える重要な資料でもある(p29)

https://media.thisisgallery.com/art_term/roman-artより以下引用
彫刻においてはギリシアの影響が特に顕著で、美術史上グレコ=ローマン時代と呼ばれる一時期を築いた。
均整のとれた古代ギリシア時代の彫刻は素晴らしい規範として高く評価され、その模造品が数多く作られた。
そのコピー作品を「ローマン・コピー」と言い、ギリシア彫刻が身体表現における普遍的で理想的な「美」としてその後の西洋美術に大きな影響を与えることとなったのは、ローマン・コピーの功績

「グレコロマン様式」の特色

(大百科事典項目)

グレコロマン様式:ローマ時代につくられたギリシア風美術の総称
(ロ―マは前31年アクティウムの海戦でギリシアを屈服させた)

彫刻は、ギリシアの原作を忠実に模倣したもの=ローマン・コピー
原作の一部を変えたもの=パステッィチオ(pasticcio)

絵画も同様だったが、ローマ時代に大いに発達したモザイクに移すことも行われた

ローマが最も独自性を発揮した建築の分野では、ギリシアの建物がそのまま模倣されることは稀であったが、コリント式の柱頭飾りや装飾のの細部などはそのまま受け継がれたものも多く、ローマ建築の特徴とさえなった。

このような古典主義的なグレコ・ローマン様式が姿を消すのは5世紀になって、形tの美しさよりも内的な表現に重きを置く表現主義的な美術が確立し、また過去の神話世界とはかかわりのない主題を表すキリスト教美術が主流となってからである。(巻8 p301 中山典夫 1949生ゴンブリッチやヴィンケルマンの訳者)

「ギリシャ美術史入門」に挙げられた文献

(途中20230801)

いままでの参照してきた文献 

『ギリシア陶器』byエリカ・ジーモン(2021)
ギリシア美術における植物文様『リーグル美術様式論―装飾史の基本問題』(1970)
『神話学入門』( ジェーン・E・ハリソン)
彫刻的芸術:ギリシア美術を代表するもの
(前川 誠郎 解説)『新装版 岩波美術館 歴史館〈第3室〉美神の世界―エーゲ海とギリシア・ローマ』 の巻末
ギリシア・ローマ神話の美術表現 「平凡社世界百科事典」(1988年版)の 鈴木 杜幾子 解説
●世界美術大全集4『ギリシア・クラシックとヘレニズム』(水田徹編、1995)
●『装飾芸術論』 エルンスト・ゴンブリッチ(文献)
●『ギリシア美術』(ナイジェル・スパイヴィ)(コリント式陶器の代表作)
●世界美術大辞典(小学館)(アッティカ陶器の作家
『西洋建築の歴史-美と空間の系譜』佐藤達生・・古代ギリシア芸術(4様式../2014k/greekart.html
芸術史と芸術理論の基礎プラトン、アリストテレス、ディドロ、パノフスキーの著作
〇バ-バラ・ウォーカーの『神話・伝承事典』
〇ド・フリースの『イメージ・シンボル事典』
〇『ヨーロッパの文様事典』

補填必要なページ

〇「白いギリシア」
□角のある神々(ゼウス、ヘルメス
セイレーンのイメージ
ディオニュソスのまとめ ●『ギリシア美術』(ナイジェル・スパイヴィ)ギリシアのケンタウロス

関連ページ

棺の美術史:棺の美術の概観