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ゴルゴネイオン(2)

me ゴルゴネイオン(ゴルゴンの頭)について見ていて()、wikipediaにマリア・ギンプタスが出てきたので、以下で吟味します。
なお、マリア・ギンブタスは『古ヨーロッパの神々』(原著1974 鶴岡真由美訳 言叢社1998)以外読んでいないのですが、wikipediaに一言されている、2001年の”The Living Goddesses. ”(University of California Press)がGoogleブックスにありました。ただし没後の編著。(編集者ミリアム・ロビンス・デクスター)

20世紀末の考古学者マリヤ・ギンブタスは、ゴルゴネイオンの原型が少なくとも紀元前6000年のセスクロ文化(英語版)にまで遡れると語っている。(wikipedia

マリヤ・ギンブタスによると、ゴルゴネイオンはダイナミックな生命エネルギーを持つとされる地母神信仰文化に由来し、ヨーロッパオリジナルの肖像であると論じた。
それに対してジェーン・エレン・ハリソン(英語版)は、これは原始的な宗教心から生まれたものであり、恐怖の像を所有することで、何か恐ろしいものを取り除いてくれるような英雄が登場するであろうことを期待して作られたものと主張している。[Harrison, Jane Ellen (1991). Prolegomena to the Study of Greek Religion. Princeton University Press.](閲覧20200523)

me上のwikipediamp記述だと混乱するが、ジェーン・エレン・ハリソンは、ギンプタス(1921‐1994)より前の人である。(1850-1928)マリア・ギンブタスのクルガン仮説(1956)を読んでの主張ではない。
ジェーン・エレン・ハリソンの著『神話学入門』の目次読書はこちら。
※マリア・ギンブタスの目次読書は別テーマ(2012)でした。

 



(『古ヨーロッパの神々』 p132)図93 象牙の小像 
旧石器時代後期・・首の長い水鳥の小像・
a.背面 b.前面 c. 側面 雷文、鋸歯文、平行線の装飾
西ウクライナ、メズィン、前14000年頃


meフェミニスト考古学の思想には関心がないが、新石器時代の水の女王(鳥女神と蛇女神)鋸歯文とメアンダー文様には驚いた覚えがある。
「ヨーロッパ文明は、ギリシア時代のわずか数世紀の間に作りだされたわけではないのである」という主張(p237) は、文様から見てもなるほどと思った。この書(『古ヨーロッパの神々』) にゴルゴンは出てこない。(2012年読了)

今回見た、Googleブックスの方のゴルゴンであるが、(fig.16-a)イタリアのシラクサ美術館蔵のレリーフと(fig.16-b)ルーブル所蔵のアッティカのアンフォラの文様は、古ヨーロッパのものではないが、下はそれである。

fig.15(p24)「まん丸の目と穴のあいた鼻、長い舌は、古典的なセスクロ文化に典型的な、白地に赤く塗られたセラミックの「ゴルゴン」の頭を強調する。」(紀元前6000~5800年、希臘北部テッサリア地方)
以下は”The Living Goddesses. ”p24‐26より引用

The Gorgon is a genuinely European symbol,and she makes her presence known throughout the southeastern European Neolithic and Bronze Ages. The Gorgon finds her most frightening realization in ancient Greek images that date from the seventh to the fifth centuries B.C. Some of these images ,undoubtedly inherited from Neolithic times,append the grinning mask and pendant tongue of the Gorgon Medusa to the body and wings of a bee,an importat symbols of life regeneration. Masks of her paralyzing face almost always adjoin symbols of dynamic life energy;wines,snakes,spirals,and lizards.
ゴルゴンは真にヨーロッパのシンボルであり、その存在は南東ヨーロッパの新石器時代と青銅器時代を通して知られている。
ゴルゴンは古代ギリシャで紀元前7世紀から5世紀のイメージで、最も恐ろしい実現をみる。
これらの画像のいくつかは、新石器時代から間違いなく受け継がれており、ゴルゴンメデューサのニヤリとした仮面と垂れ下がった舌をミツバチの体と翼に付加し、生命の再生の重要なシンボルとなった。 彼女の麻痺した顔のマスクはほとんど常に、動的生命エネルギ-ー;ワイン、ヘビ、スパイラル、トカゲ、を継ぎ足している。

Greek texts record the belief that blood from Medusa's snaky locks contained magic properties that could both create and destroy.
The first venomous drop from he Medusa's hair-snakes caused instant death; the second,from Medusa's veins,brought rebirth and life.
The death-drop of Medusa's blood may have been a transposed and distorted memory of women's powerful Moon-blood,and Medusa's terrible mask could reflect menstrual fears and taboos.
Even inmany contemporary caltures,superstitions warn that the lock of a menstruating woman can turn a man to stone,contaminate food,or endanger hunting.
ギリシャ語のテキストは、メドゥーサの蛇のような髪の毛からの血には、作成と破壊の両方が可能な魔法の特性が含まれていたという信念を記録している。
メドゥーサのヘビの髪からの最初の有毒な一滴は即死を、
メドゥーサの静脈から2番目の血は、再生を引き起こす。
メドゥーサの血の死のドロップは、女性の強力な月の血の転置され歪曲された記憶であった可能性があり、メドゥーサの恐ろしい仮面は月経の恐怖とタブーを反映している可能性がある。
非常に多くの現代のカルチャーでさえ、月経中の女性の血が男性を石に変えたり、食物を汚染したり、狩猟を危険にさらしたりする可能性があると警告している。

By the seventh century B.C.,Medusa's head,chopped off by the hero Perseus,was appropriated for the aegis,or badge of divine power,intended to protect the viewer from from evil.
英雄のペルセウスによって切り取られたメドゥーサの頭は、紀元前7世紀までに、邪悪なものの視線から守るために、イージスまたは神力のバッジに割り当てられました。

The Gorgon was frequently placed on coins,public buildings,temple pediments,individual seals,public and private roof tops,and the shields of warriors ;she also adorns the breastplate of the warrior-godddes Athena.
ゴルゴンは、コイン、公共の建物、寺院のペディメント、個人の封印、公的および私的な屋根、戦士の盾に頻繁に置かれました。彼女は戦士の女神アテナの胸当ても飾っています。

Juxtaposition of the goddess' breasts and vulva with death symbols,particularly raptors,reflects the Neolithic belief that the goddess brought both life and death.
At Çatalhöyük,the walls of a shrine portray breasts molded in clay relief over the beaks of vultures.
女神の乳房と外陰の死のシンボル、特に猛禽類との並置は、女神が生と死の両方をもたらしたという新石器時代の信念を反映する。チャタル・ヒュユクでは、神社の壁がハゲワシのくちばしを覆う粘土のレリーフで形作られた。

meここの地名のある、Çatalhöyükについてだが、「2018年03月15日 世界遺産チャタル・ホユック(チャタル・フユック)に関わる捏造疑惑が発覚」したとは、 どういうことか、(^-^ ;我田引水どころか、
第一人者が en.wikipedia/James_Mellaart
発見の多くを偽造したとは・・・

その結果、以下の、ギンブタスの、壁画についての記述は無価値となったと思われる。

Until recently,researchers thought that such reliefs were confined to Anatolia,the Near East,and southeast Europe.
However,recently there has been a significant find in central Europe,in an Alpine lake.
最近まで、研究者たちはそのような救済はアナトリア、近東、南東ヨーロッパに限定されていると考えていました。
しかし、最近、中央ヨーロッパの高山湖で重要な発見がありました。

Archaeologists working in Lke Constance on the Swiss-German border investigated a building of the Pfynculture(3900-3800 B.C.),now submerged in shallow waters.
Wood structures with simple clay-coated walls typify this region and time priod.
Unusual reliefs and paintings,however decorated the interior of this structure,including images of breasts.
The parallels between Çatalhöyük and Lake Constance are striking.
Both reveal shrines dedicated to the goddes of death and regeneration worshiped across Europe and the Near East.
スイスとドイツの国境のコンスタンツ湖で働いていた考古学者たちは、現在浅瀬に沈んでいるPfynculture(紀元前3900〜3800年)の建物を調査しました。
シンプルな粘土でコーティングされた壁のある木造建築は、この地域と時代の典型です。
珍しいレリーフや絵画が、この構造の内部を飾っていますが、胸の画像も含まれています。
チャタル・フユックとボーデン湖の類似点は印象的です。
どちらもヨーロッパと中近東で崇拝されている死と再生の女神に捧げられた神社であることは明らかです。

D-BW-Uhldingen-Mühlhofen - Pfahlbaumuseum - Sipplinger Dorf
Pfahlbaumuseum

meボーデン湖(コンスタンツ湖)の先史時代の遺跡、石の丘については、ドイツ版に詳しいが、 de.wikipedia/Bodensee
壁画とか、「死と再生の女神」は確認できない・・また、
「ゴルゴネイオン」の原形なのか、確認はできないと思うが、まん丸の目と穴のあいた鼻、長い舌を出した首があったということは、遺物が示しているようだ。

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LastModified: 2020年

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