聖樹聖獣文様
プシコマキア
Left portal of the western facade of Notre-Dame de Strasbourg
《プシコマキア》ストラスブール大青銅正面浮彫り
Strasbourg Cathedral （fr）
「Psychomachia」というタイトルは、2つのギリシャ語のpsyche（「魂」）とmake（「fight」）に由来 (de.wikipedia）
プルデンティウスの影響は13世紀に至るまで広く見られる。 ゴシック彫刻は一般に、人間または動物の姿をした特定の悪徳を足下に踏みつける美徳の姿を表わす。(『西洋美術解読事典』p271）
(『西洋美術解読事典―絵画・彫刻における主題と象徴―』ジェイムズ・.ホール著(原著1974) 高階秀爾監修 河出書房新社1988）
「美徳・悪徳」の戦いを書いたプルデンティウスの叙事詩『プシコマキア』の頁をまとめておきます。
中世の徳の擬人像の原型に最も近いと思われるのは、4世紀のローマの詩人プルデンティウスの『プシコマキア』(内面の戦い)である。
この寓意詩の中では、七組の闘士が七つの戦いを戦っている。
それには、「放蕩」と「節制」とかあ、「忍耐」と怒り」、「新人」と「異端」などの、「徳」とそれに反する「罪」が組み合わされている。
それゆえ、のちのキリスト教がその道徳的教訓の寓意像とした「徳」をカテドラルの壁面に彫り込んだときにも、多くの場合それらは、足下に「罪」を組み敷いて立っているようになった。(若桑みどり p17)
11世紀マニュスクリプト《淫欲と貞節》
プルデンティウス『プシコマキアより
（
(全集 『美術の中の裸婦』 第7巻の総論若桑みどりp17図）
プシコマキア ヴァティカ―ノ美術館
タッデオ・ツッカリ（Taddeo Zuccari, またはタッデオ・ツッカロ、1529- 1566）
ボッティチェリの《カルンニア（誹謗）》
プルデンティウスの挿絵の世界がもう一度蘇ってきている。
人間精神内に起こるモラルと罪の葛藤を描こうとすれば、必ずアレゴリーの手段に訴えるしか方法がない。（p18）
Statue of Victory by Michelangelo (1533-1534),
Salone dei Cinquecento, Palazzo Vecchio, Firenze, Italy
ミケランジェロ《勝利》261㎝
ボッティチェッリに続いてミケランジェロは、彼の天才の直観によって再び中世のプシコマキアの図像を復活させ、モラルの葛藤を表現する際にルネサンス人が口実として世界から借りてきたすべての外皮を、また捨ててしまった。、
彼はここで自分の熱烈なプラトン的愛の対象であるカヴァリエ―リに似た若者を「徳」とし、自分の顔をした老人を「罪」として、中世の「罪に勝つ徳」の寓意像に新しい形体を与えたのである。（p18）
※wikipedia：Tommaso dei Cavalieriトマソデイカヴァリエーリ（1509–1587）
彼の後2世紀の間、彫刻家たちは、「罪に勝つ徳」の種々相とそこから造形的に発展した「闘争」の群像をつくることに専念したといってよい。
ジョバンニ・ダ・ボローニャ《サビ―二の女の略奪》1574‐82
フィレンツェ ロッジア・ディ・ランツィ
ベルニーニ《プルートとプロセルピナ》
ローマ ボルゲーゼ美術館蔵
The Rape of Proserpina
Gian Lorenzo Bernini (1598–1680)
ヨーロッパ芸術が常に愛好してきたさまざまな「闘争図（マキア）の底には、中世に生まれた「プシコマキア」の理念が生き続けている。（p18）
以上 若桑みどりさんのか解説から
。以下、続いて、ジェイムズ・.ホール著
(『西洋美術解読事典―絵画・彫刻における主題と象徴―』
から。
(原著1974) 高階秀爾監修 河出書房新社1988）
悪徳と美徳
抽象的な概念を擬人化した人物像。
一般に女性で識別のための持物（じもつ）を持つ。
古代ギリシア・ローマ時代からよく知られていた。
初期キリスト教会はこれを受け継ぎ、争いあう美徳と悪徳を表現することによって、倫理的訓戒を与えようとした。
7つの美徳は、時には適当な悪徳(必ずしも七つの大罪ではない)との対の形で、中世の彫刻・壁画に広く表わされた。
最後の審判と合わせて描かれる場合が多い。
(ジョット作、パドヴァ、スクロヴェーニ礼拝堂）
ルネサンス以降は独立像として表わされる例が多く、《慈愛》と《正義》が最も一般的である。
(『西洋美術解読事典』p271）
Psychomachia,
as the "battle between good and evil",
on a Romanesque capital,
Monastery of Sant Cugat, Catalonia, Spain
| ノートル・ダム・デュ・ポール教会
https://www.karakusamon.com/2015k/Notre-Dame_du_Port.html
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聖樹聖獣文様. ロマネスクの美術. ノートル・ダム・デュ・ポール教会（Basilica of Notre- Dame du Port）. エミール・マールの『ロマネスクの図像学』 第1章の図版・・・38 翻訳者 追加の教会の全景写真他の図版・・6. プシコマキア(魂の戦い). 図19．プシコマキア、 ... |
| 「ヨーロッパ中世美術講義」 目次読書 |
2019年1月12日 ... イリアス」「アエネイス」「プシコマキア」などの写本を飾った興味深い挿絵のかずかずを 考察。 「挿絵の芸術―古代末期写本画の世界へ 」東北大学出版会,2001 「線描の芸術 ―西欧初期中世の写本を見る (TUP叢書) 」東北大学出版会，2003 |
| ロマネスクの教会まとめ(フランス)
https://karakusamon.com/2019k/romanesque_fr.html
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2019年8月23日 ...プシコマキア(魂の戦い)） サン・マリア・デ・リポール修道院教会 Santa_Maria_de_Ripoll.html (※カノンの装飾の模倣） シャルリューの聖堂 Abbaye_de_Charlieu.html (※「クリュニー系芸術の最も美しい記念碑」） クリュニー大 修道院の娘 ... |
| 中世彫刻の様相（アンリ・フォシヨン）
https://www.karakusamon.com/henri_focillon1.html
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2019年3月12日 ... > ラテン語キリスト教文学の古い詩であるプルディンティウスの『プシコマキア』が石の浮彫 の上に復活＊「美徳・悪徳」の戦いを書いたプルデンティウスの叙事詩. 巡礼と遺物崇拝 の世紀 黙示録のカンタータがその壮大な調べを初めて鳴り響かせ ... |
