■生命の樹

聖なる木(世界樹 生命樹)
pamette border

棕櫚(ナツメヤシ)

棕櫚(ナツメヤシ)はまず
古代メソポタミアやエジプトで
聖樹であった

palmet常緑で生命と繁栄の象徴

(文様辞典より)
古代ペルシアでは
天空には恵みの雨を降らせる深海があり
その海中には「聖なる樹」(ハマオ)が成育し
その木からは
不死の霊薬が作られるという伝承がある。
そこで 聖樹を中心に動物が左右対称に置かれる構成は
ササン朝ペルシアの重要な文様になりひろまった。
その木の下は聖地や楽園を意味し
動物たちは清められ祝福されることを表している
また聖樹は単独では生命の樹として
使われ、イスラム美術の文様で重要なモチィーフになる。

東方への伝播
正倉院宝物には
樹木を中心にその下または左右に
象 鹿 羊 鳥などがいる屏風が多数ある

8世紀正倉院
紺地花樹双鳥文・・
象木
羊木

8世紀
天樹とキンナラ 壁のレリーフ

ジャワ チャンディ・パウォン外壁
天樹を中心に人面鳥身の音楽神キンナラが集う
天国の情景を描く

998年
山羊円文鏡
アッパース朝イスラム帝国
イラン レイ出土 クリーブランド美術館蔵

樹下動物文 円文 左右対称形、といった
ササン朝の伝統様式は
イスラム世界にも取り入れられた

1160〜70年ごろ
生命の樹などの壁画モザイク
シチリアパレルモ王宮ロゲリウス2世の室
ナツメヤシもあるが中央のは違う樹

15世紀後半
染め織りの文様
フィレンツェ製


西方への伝播


聖樹の意匠は西洋でも盛んに用いられ

聖樹の下に動物が集うキリスト教の楽園のイメージが形成された


1896年
毛織のジャガード織
イギリス製ロンドン ヴィクトリア&アルバート美術館

プロトアイオリス式柱頭


アルスラン・タシュの象牙(「シリア国立博物館」蔵 )
紀元前1千年紀
有翼グリフィンも 魅力的である
古代アラム (現シリア) の中心都市ダマスカス Damascus
アッシリア王がダマスカス王の家具飾りを
略奪し、持ち帰ったものという。
中央の聖樹のデザインは
ヤシの木から着想をえたもので
しだいに抽象化されて、
プロト・アイオリス式柱頭の
渦巻き型柱頭に展開
していく
アイオリス式柱頭・・・・
 基本的にはイオニア式と変わらないのですが、
 柱頭だけは独自の様式を持っています。
 イオニア式の原形である渦巻き型の間に
 パルメットを挿入した形をしています。
(講談社 世界の博物館18 増田精一・杉村棟編 昭和54年刊)

アルスラン〜モンゴル語では「獅子」
大英博物館のよりEGYPT的なものと比べるのも面白い。
グリフィン⇒スフィンクスへの変化がわかります。
Ivory plaque depicting a winged sphinx
Phoenician, 9th-8th century BC
Found at Fort Shalmaneser,
Nimrud (ancient Kalhu), northern Iraq

Austen Henry Layard (1817-94), archaeologist
その他大英博物館の次のページで
いろいろオリエントの文物を見られます
大英博物館のCONPAS


タンムズ (Tammuz)・・・四季の神
⇒フェニキアの生育神(エジプトのイシュタルに対応)

https://www18.tok2.com/home/ventvert/mythology/
mythology_TAGYOU_LABEL.htm

生育神


植物を縛リ付ける行為は
生育神の死=夏を意味するという



  聖樹文様

        (平凡社百科辞典 長田玲子)

生命の樹」を典型とする聖樹は世界各地で
装飾文様として使われている。
イランではハマオと呼ばれたがこれは葡萄だとされる。
聖樹は多くは聖樹や女神を伴った形で
装飾文様に使われる。
すでに前3000年紀のスーサ出土の円筒印章には
動物を伴った樹木文様や
樹下に聖獣を配したものがある。
なお、ヨーロッパのキリスト教美術でも
生命の樹として葡萄がしばしば描かれ、
今も行われる枝の主日のオリーブやナツメヤシの祝福、
またクリスマスツリーも聖樹崇拝の名残といえる。

布に描かれた世界の生命の樹(法政大学教授田中優子)

生命の樹は、世界中に認められる樹木崇拝と、
人々の生命、世界、宇宙に対する畏敬の念とが結びついて誕生したものと考えられる。
それらの多くは、タペストリーや絨毯などの布に描かれた。 
     by大阪大学理学研究科の連携大学院(生命誌研究館)
季刊誌「生命誌」通 巻25号
生命樹の布

植物・パルメット  聖獣:ヘビ 双獣文

唐草物語:杉浦康平さんの「生命の樹・花宇宙」をよむ
木(聖樹)ナツメヤシ 木(聖樹)イグドラシル レバノン杉(2004/08/21)
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