唐草図鑑
聖樹聖獣文様


サン=ピエール・ド・モワサック教会 - 修道院付属教会 (Moissac)20190609 photo byM.N.

 2019年6月のモワサック。もう一度の外観からじっくり見てみたい。
Moissac logo verticaltyuusei_moasac.html


「ヨーロッパ各地で模倣されたロマネスク彫刻の傑作」
南正面ファサードの彫刻
?んキリストの頭にまさか鳩がとまっているとは想像しませんでした。
鳩がとまりやすそうな形でした((笑))
周囲や下の列の、「頭に金の冠をかぶった24人の長老」(黙示録第4章)同様に
キリストは冠を被っていて、それが鳩の足台に・・


右手を挙げて祝福を与えるキリスト

モワサックのタンパンのキリスト表現 ≪黙示録のキリスト≫
2014k/moissac.html(『ロマネスク美術』馬杉宗夫著p135)


モワサックのポーチ

悪しき金持ちの喩え(E・マール『ロマネスクの図像学』上巻p44) 図17参照


聖堂の外の案内にあった看板
parabole de Lazare(ラザロの例え話)

et du riche et tourments infernaux(金持ちの地獄の苦しみ)
ラザロと犬

①la banquet du riche se déroule(金持ちの宴会)Luc,16,19-31(ルカによる福音書第16章 16:19~16:31)
②alors que le pauvre Lazare affamé est allongé derrière la porte,des chiens lechant ses plaies(貧しい空腹のラザロがドアの後ろに横たわっている間、犬が彼の傷を舐めている)
③Penche sur lui,un ange emporte son ame qui a la forme d'un petit enfant et la confie au prophete Abraham qui va le reconforter en son sein,en Paradis.(天使は小さな子供の形をした彼の魂を運び、天国の預言者アブラハムに委ねる)
④Le dernier personnage à gauche pourrait symboliser les paroles dites au riche précipité en enter:≪il fallait se conformer aux lois de I'Ecriture sainte≫(左の最後の文字は、金持ちに言われた「聖書の立法に従うことが必要だ」という言葉を象徴する)
⑤Le riche qui banquetait est mort,sa femme le pleure. Son àme,sous la forme d'un petit enfant,est emportée par des démons tandis qu'un diable ailé s'empare de sa bourse.(宴会をした金持ちは死に、妻は泣いた。 小さな子供の形をした彼の魂は悪魔によって運び去られ、翼のある悪魔が彼の財布をつかみむ。)
⑥L' Enfer et sa sarabande de diables.(地獄と悪魔のサラバンドダンス)
⑦Un puissant sur son trone:I'orgueil et l'avarice.(王座に強力な:誇りと貪欲
⑧ Un femme dévorée par les serpente et les crapauds abordée par un satyre:la luxure.(サテュロスに近づいたヘビやヒキガエルに夢中になった女性:欲望ほ=蛇とヒキガエルに噛まれている女性
✳淫乱→善悪の擬人像

 エミール・マールの『ロマネスクの図像学』第1章の解説参照:モアサック芸術における他の写本挿絵の影響Ⅲ モアサックの「悪しき金持ち」と諸写本


Détail sculpté du porche de l'abbatiale de Moissac
柱の刳り方がおもしろいが、
こちらも小さめだが同様に波状に刳られている

 この、ポーチ右側の柱の彫刻であるが・・横つなぎの, 花綱(フェストーン)とキールティムカ(makara_tatikawa.html)に見える・・そちらは東洋において紀元前から存在する・・
エミール・マールは、これらの動物に意味はない、文様であると言っている。
ヨーロッパ中世の宗教芸術における動物は、オリエントから借りたもので、象徴性はない

いや正確な文言(の例)は
、「我々のロマネスク教会の奇妙な動物たちがほとんどの場合オリエントの織物に見られる素晴らしい動物たちの多少とも自由な再現であることは確かと考えられるのだ。(が)西欧の彫刻家たちは必ずしもそこに意味を与えようとは思わず、多くはただ教会を飾る事だけを考えていたのである。」
(『ロマネスクの図像学』下巻p169)  


こちらの左側の詳しい写真は、ちょっと見えていますが、長時間ボヘミアンな人が座りこんでいて、
撮れなかったので、 朝撮った下の写真から拡大してみます。

 ボケてますね⇒扉口左壁の彫刻を検索しました。
http://izmreise.la.coocan.jp//moissac_portail.html

こちら側の解説には英語も併記されていて、テーマも
新訳からのエピソード(Life of Jesus in the New Testament)で、より一般的な感じ・・
下段
①受胎告知 (Annunciationアナウンシエーション) 
②聖母のご訪問(Visitation
③マギの礼拝(Adoration of the Magi
上段
④寺院でのイエスの提示(Presentation of Jesus at the Temple
⑤エジプトへの避難(Flight in to Egypt)
⑥聖家族の存在下でのエジプト異教の偶像の崩壊(Collapse of the Efyptiana pagan idols in then presence of Holy Family)
La Visitation (piédroit du porche)
 La Visitation sculptée sur une partie du piédroit de droite du porche de l'église abbatiale de Moissac(wikimedia)

Byzantine and Romanesque architecture (1913) (14595668590)[ [Byzantine and Romanesque architecture]Fig. 92..
Jackson, Thomas GrahamBook Viewer)1913ケンブリッジ大学出版局

私の写真はwikipediaやネットにある写真には負けると思うのだが、しかし、サイズの確認・臨場感は、行ってみないとわからない。実際に行ってみたことをさらに振りかえってみることにします。次いでポーチ中央部分を・・

Moissac (82) Porche 09
Moissac Porche

エレミア以下の聖人については別にこちらへ⇒chiristian_seijin.html



柱頭室にあったかっての広大な全景 ミニチュア
付属していたらしき周囲の建物は
ツーリストオフィスや市立図書館Bibliotheque Municipale等になっているようです。

 700年に創立され1625年に解散したという高名なる修道院であるが、左側にどんどん回ってみる・・


聖堂裏に柱頭室入り口が。右は、ドクダミ一色という感じの庭・・
その左の庭は、バラの垣根、カレープラントの匂い・・

 上は、聖堂裏の駐車場の看板。下は聖堂正面への道・・


聖堂前にマグノリア(タイサンボク)の白い花が咲いていた。

Moissac logo vertical

以上、モワサック(1)サン・ピエール修道院 エクステリアでした。
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