唐草図鑑
図像学

時の翁

象徴/寓意的な人物像 

ニコラ・プッサンの「人生の踊り」

 

A Dande To The Music Of Time

The dance to the music of time c. 1640

A Dance to the Music of Time - 1640 - ウォレス・コレクション
油彩 画布 82.5×104㎝(参照の本では1938年頃の作とあり)

時・・。
時の擬人化greece/kronos.html:クロノス、アイオーン、蛇に巻かれた獅子、キュモンの ミトラ教の時間の神などをみましたが、
パノフスキーのイコノロジー「時の翁」論(時の翁像の展開・ 古典のアイオンと中世のサトゥルネスの混合)を再度見て、さらに寓意的な人物像ということで、時の寓意像を見ます。
 ・・ ロバート・カミング著『世界名画の謎』(ゆまに書房,2000 Robert Cumming(原著), 冨田 章,佐藤 幸宏, 人見 伸子 , 大熊 敏之 他(翻訳))を参考に、ニコラ・プッサンの絵 ‥ (20181106)

(*別の関連greece/hieronymus.html

ニコラ・プッサン(Nicolas Poussin, 1594 - 1665)は、
バロック時代のフランスの画家。(Wikipedia)

 この作品は、感情よりも理性に訴えるものであり、知的なメッセージ或いはパズルを表していて、時や人間の運命についてのささやかな論文となっている。(p50)

4人の踊り手たちは寓意的な人物像であり、富・快楽・勤勉・貧困を表している。

me このプッサンの「名画の謎」であるが、「プッサンの優れた色彩画家としての側面」として、「青と金の調和が基礎になっていて、青のアクセントが鑑賞者の目を画面全体へと導き、踊り手たちの円運動を補っている」・・と挙げられているのに、まず、なるほど、と。
時の老人の右肩から腰下あたりに、青布がある。青いマントというと、聖母マリアの象徴だが・・。この意味は何なのかわからない。青い衣を着ているのは、「喜び」・・

時を現す老人

  

時を現す老人
踊り手たちののために音楽を奏でる有翼のひげの老人は、父なる時を表す。この老人の存在は、人生の踊りが終わったとき、死は避けがたいことを示している。死はすべての人間の活動や関係の中に存在する。(p51)   

時の砂
幼いプットは、父なる時を補う存在である。このプットが手にする砂時計はうつろいゆく時を象徴する。
しかし、この砂時計は、まだ上半分にたくさんの砂があるので、まだこの人生の踊りははじまったばかりである。

me この老ミュージシャンは、「父」なのかどうか。

  

この絵は、永続とかりそめという対立するイメージに満ちている。たとえば、ヤヌスの石像は永遠を表し、この石像を飾る花輪はうつろいを表す。 8p50)

二面神
石柱の上の二つの顔を持つ人物像は、古代ローマの神ヤヌスである。この神は二つの方向から同じ時を眺めることができた。若い顔は未来を眺め、年老いた顔は過去を眺めた。古代のローマ人たちは、新しい企てを起こすときや、一年の初めのときにヤヌス神を崇めた。「一月(January)}の語源は「やぬす(Janus)}だ。

ホモ・ブラ


シャボン玉は”ホモ・ブラ”(人は泡)という考え方を表し、人生の短さを象徴している。シャボン玉のように、人間の命はわずかな間に消え去り、思い出が残るばかりである。

四大とホモ・ブラ ヤン・ファン・ケッセルtulip2.html

喜び

勤勉

貧困

太陽神と従者

me この「オーロラ」を見ていると東洋の天女が思い浮かびます。

Wikipediaでは、天女は、「インド方面を起源とする説と、オリエント・ペルシャに起源を求める説があるが、後者のほうは元々、有翼人種(亜人ないし精霊の一種)として描かれていたと推測されている。これが西洋方面に伝播する過程で天使に、東洋方面に伝播する過程で飛天から天女へと変化していったと目されている。」とあるが、不満足。

Taq-e Bostanの正面壁の飛天像ペルシアの飛天
(後ほど再度見ます。)
話を戻すと・・、天上でも、馬車につきしたがる少女たちが描かれ、少女たちは太陽神の家来、「時間」であると書かれている。(季節の女神)


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(女の年齢)

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