唐草図鑑

西洋の芸術(中世)

「教会の怪物たち━ロマネスクの図像学」5


 

教会の怪物たち ロマネスクの図像学

尾形希和子著(沖縄芸術大学
2013年12月刊 (講談社選書メチエ)
/目次読書2014-08-17/

目次

第一章 怪物的図像とイコノロジー的アプローチ
第二章 神の創造の多様性としての怪物・聖なる怪物
第三章 怪物的民族と地図
第四章 「自然の力」の具現化としての怪物
第五章 世俗世界を表す蔓草
第六章 悪徳の寓意としての怪物から辟邪としての怪物へ  
第七章 古代のモティーフの継承と変容、諸教混淆
第八章 怪物のメーキング
結び 怪物的中世


第一章 の研究の方法、図像へのアプローチの仕方に続いて「教会の怪物」を丁寧に読んできましたが、ここにいたっては、ここまでのまとめという感じで、ほっとする。・・

第五章 世俗世界を表す蔓草

蔓草文の中の森羅万象

人間や獣などとともに怪物的民族や怪物の姿を宿すロマネスクの蔓草(ピープルド・スクロール)が「現世」を著し、かつミクロコスモスやマクロコスモスとの教会を暗示する可能性を述べる。

「混沌とした現世」を表す渦巻きや結び目などがロマネスクの美意識とも合致する事を示す

1.モデナ大聖堂のピープルド・スクロール

イタリア屈指のロマネスク聖堂

渦巻く蔓草文様―ファサード中央扉口 

原罪、そして贖罪と救済

原罪後の弱肉強食の世界 

呪われた土からの救済

救いを求め光の方向へ 

「罪に満ちた現世」か豊穣のシンボルか

帯びやすいネガティブな価値 

人間に絡みつき捕らわれの身にする 

モデナ大聖堂

2.キールティムカとグリーンマン=オケアノス

インドのグリーンマン 

動物の口から吐き出される植物文様 

扉をくぐるという通過儀礼 

ヤヌスと双子座 

時間を支配するアンヌスとして 

異なる次元の境界に開かれた「扉」 

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3.ロマネスクの美意識と蔓草

「多様性」への嗜好 

絡まり合う蔓草―魔除けの機能 

喜びを喚起する文様

4.怪物的形体の装飾的生成

単なるシンメトリーの追求ではなく 

深く息づくオリエントのシンボリズム 

装飾的図像と再現的図像の織り成す世界 

⇒検討事項 peopled scroll!!??

古代のアカンサス蔓草には、渦巻きが作りだす空間の中に動物、怪物、人間などの像を宿すものがある。それらは英語ではピープルド・スクロールあるいはインハビティド・スクロールと呼ばれている(p172)

peopled scrollとは

この用語を知らなかったので、まずは、検索してみます

Peopled Scrolls

Peopled Scrolls: a Hellenistic Motif in Imperial Art* https://journals.cambridge.org/action/・・
by Jocelyn Toynbee(1897-1985 :an English archaeologist and art historian)=20世紀半ばのロ―マの芸術の研究で英国を代表する学者 

「ピープルド・スクロールという呼称はトインビーに由来するらしい」と 尾形さんのP322 注にもアリ

Peopled scrolls:a Hellenistic motif in Imperial art
ローマ帝国美術のヘレニズムモチーフ

Inhabited Vine Scrolls

Peopled or Inhabited Vine Scrolls
https://maireadryanstravels.com/yemen/peopled-inhabited-vine-scrolls/

人・動物が宿る蔓のスクロール

Men among Vines

Men among Vines : The Romanesque image of figures among vegetation
植生の間の形体のロマネスク様式のイメージ https://www.green-man-of-cercles.org/articles/men_among_vines.pdf

https://books.google.co.jp/books?id=Jxk0v1rWL1EC
https://www.amazon.co.jp/Gary-R.-Varner/e/B001JS6TMA



https://books.google.co.jp/books?id=9N41AgAAQBAJ・・ 


https://arts-old.tau.ac.il/departments////05taragan.pdf
The Umayyad palace at Khirbat al-Mafjar in Jericho (known as Hisham Palace) (724-748),


https://books.google.co.jp/books?id=STshAwAAQBAJ・・

https://books.google.co.jp/books?id=wFV7M698sYQC・・

https://en.wikipedia.org/wiki/Aphrodisias(トルコの古代ギリシア・ローマ遺跡〕The Temple of Aphrodite was a focal point of the town, but the character of the building was altered when it became a Christian basilica.・・
Sarcophagi were recovered in various locations, most frequently decorated with designs consisting of garland and columns. Pilasters have been found showing what are described as "peopled scrolls" with figures of people, birds and animals entwined in acanthus leaves.

様々な場所で回収された石棺は、もっとも頻繁に花綱や円柱で飾られていた。
ピラスターは「ピープルドスクロース」として、人や鳥や動物がアカンサスの葉が絡まった形を描かれたものがみつかっている。

『教会の怪物たち』を読むページその6へ


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