マルクス・ウィトルウィウス・ポッリオ(Marcus Vitruvius Pollio)
ヴィトルヴィウス※は、歴史上最も大きな影響を与えた建築家であるが、それは作品によってではなく、著書『建築書』によってである。
by
『図説西洋建築の歴史-美と空間の系譜』p57
(佐藤達生著河出書房新社 2005年刊)※この著書での表記はこうである(一般には清音)
マルクス・ウィトルウィウス・ポッリオ(Marcus Vitruvius Pollio, 紀元前80年/70年頃 - 紀元前15年以降)は、共和政ローマ期に活動した建築家・建築理論家である。『建築について』(De Architectura、建築十書
建築の部門
1.建物を建てること
2.日時計を作ること
3.器械を作ること
・・・1=水道、水道橋、貯水池、ダム、港湾施設、軍事施設を含む
・・・3=起重機、揚水機、水力オルガン、距離計、投石機、攻略塔・・・
tect=職人、工人
接頭語 archi=
第一の、主要な大きな、先頭に立つ
直訳すればarchitect=大工
=学芸(算術、幾何学、音楽、天文学を身につけた、学問のある人物)
2番目の日時計を作るのには、天文学と幾何学の知識が不可欠
ヴィトルヴィウスによれば、音楽は、規範となるような数的な比例体系を身につけるのに必要であり、投石木の減の張り具合を音によって調整するのに必要であり、更に、劇場の階段席の下に置かれた壺の共鳴によって音響効果を測定するのに必要だったのである。(p57)
築の原語である"Architecture"は、個々の建物ではなく、建物を造る行為(過程、技術)を指す。
ローマ時代の建築家、ウィトルウィウスが著した、現存する最古の建築理論書「建築書(建築論、建築十書とも)」によると、用(utilitas)・強(firmitas)・美(venustas)を兼ね備えることが求められるものであり、これを実現する為に、芸術的かつ科学的見地に立たねばならないとされる。(Wikipedia:建築)
ウィトルウィウスの人体比例と建築比例の理論
アルベルティの紹介した人体比例は、レオナルド・ダ・ヴィンチの有名なスケッチ、『ウィトルウィウスによる人体比例図』に図式されている。 レオナルドはウィトルウィウスの著作『建築論』の第3巻1章2節から3節の内容を視覚化している。
ウィトルウィウスはへそを中心とすることによって人体の比率に正確な数学的定義付けを試みたが、この定義には問題がある。『ウィトルウィウス的人体図』は医学に関するシンボルとなっている(Wikipedia)
古代ローマ建築の造形法を再発見し、それを都市の新しい実力者たちの邸宅であるパラッツォ(邸館)や、ヴィラ(別荘)、あるいは新たに意味付けし直された教会堂などに適用すること(p58)
"FI innocenti.05" di Warburg - Opera propria. Con licenza CC BY-SA 3.0 tramite Wikimedia Commons.
"Spedale degli Innocenti (detail)". Con licenza CC BY-SA 3.0 tramite Wikimedia Commons.
彼のいくつかの意匠的な着想は、11世紀から12世紀にかけて建設されたトスカーナ地方固有のロマネスク建築、および15世紀を通じて影響力を保ち続けた国際ゴシック様式にある。
捨子保育院(オスペダーレ・デッリ・イノチェンティ)のポーティコに見られる細いアーチを連続させるファサード、フィレンツェのサン・ミニアート・アル・モンテ聖堂、サン・ジョヴァンニ洗礼堂、サン・マッテオ施療院などに用いられているモティーフ
Basilica of San Lorenzo, Florence
コリント式柱頭とアーチの間にブロック化されたエンタプラチュアが挿入されている
« From the campanile » par Scott Raymond from Kansas City, USA — from the campanile. Sous licence CC BY 2.0 via Wikimedia Commons.
レオン・バッティスタ・アルベルティ(Leon Battista Alberti、1404年2月14日 - 1472年4月25日)は、初期ルネサンスの人文主義者、建築理論家、建築家。もうひとりの「万能の人」※ レオナルド・ダ・ヴィンチより約50年前 ( Leonardo da Vinci 1452- 1519)
常人を超える運動能力
建築を学芸の域に
純粋の建築家として//芸術家としての建築家の登場
『建築論』装飾(オーダーとその適用法および各部意匠の表現などの事)を中心に、建物の外形、敷地の剪定、事前調査建築材料の性質と製造法、各種工事、各種施設の計画、修復など、およそ現在の大学建築学かで教えるすべての分野を網羅している。(p71)
ウィトルウィウスの著作から、古典主義建築に必須の要素であるオーダーの比例理論を抽出し、これにはじめて論理的な説明を加えたのは、レオン・バッティスタ・アルベルティである。(Wikipedia:ルネサンス建築)
"Palácio Rucellai". Licensed under Public domain via Wikimedia Commons.
コロッセオの散る面を適用し、ロ―マ建築のより深い理解を示す(P62)
「StMariaNovella-outer。Wikipedia で発表。
http://www.gattoitalia.com/viaggio8-5-2.html
「TempipiettoSPiMROM」。Wikipedia で発表。
ロンドンのセント・ポール大聖堂やパリのパンテオンなど、後のドーム建築に大きな影響を与えた。(p63)
"Palais Farnese" by Myrabella - 投稿者自身による作品. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.
エディキュラ形の窓の規則的な配置が古典的性格を強める
正面のエディキュラ形の窓:
三角形のぺディメントと弓型のぺディメントとを交互に載せる
主要階(ピアノ・ノビレ)をなす第二層は、エディキュラの円柱をペデスタルに載せ、このペデスタルと窓台のつくる水平帯の構成をコロッセオに忠実にならうなど、古典的格式の高さを示している(p64)