アリライオンというものを知ったのは『プリニウスの博物誌』からであったが・・
「フィシオログスは言う。アリライオンは、顔はライオンで首から下はアリだ。」・・
「人間も同じ、二心のものは、あらゆる行路に安らぎがない。二股をかけてはならない」・・というような教訓で終わる短い話だった。
※ミルメコレオ(Myrmecoleo):アリライオン
フィシオロゴス(ギリシア語 : Φυσιολόγος, ラテン語 : Physiologus)は、中世ヨーロッパで聖書と並んで広く読まれた教本である。表題の「フィシオロゴス」とは、ギリシア語で「自然を知る者、博物学者」と言う意味である。
2世紀のアレクサンドリア、もしくは4世紀のカエサレアで名前不詳のキリスト教徒達が当時世間に流布していた口頭伝承を、ギリシア語で編み、刊行sareta. ヨーロッパでは、5世紀までに訳された、ラテン語版に従って「フィシオログス」(Physiologus)と呼ばれている。
さまざまな動物、植物、鉱物の容姿、習性、伝承が語られ、これに関連して宗教上、道徳上の教訓が、旧約聖書や新約聖書からの引用によって表現されている。とくにラテン語版は、のちに中世ヨーロッパで広く読まれる動物寓意譚(Bestiarium)の原型になったと言われる。
Wikipediaでは「さまざまな植物」というが、植物はトネリコとイチジクだけである。
それに、イチジクでは、中のコバチの話をしたかっただけだし、トネリコの木では、つまりは十字架でハトとドラゴンの話である。
キリスト教以前の資料に基づき、キリスト教的解釈を施された。一種の動物誌(植物や石についての記述もある)初期キリスト教の時代にギリシア語で書かれた。後世の象徴解釈や美術のモチーフに多大の影響を与えた。(マンフレート・ルルカー『聖書象徴事典』池田紘一訳p35)
こちらの本はオットー・ゼールOtto Seeさんが詳しい原注と文献案内などを付されたもので、1960年刊。
2015年4月6日に購入したが、
この博品社 の (Documenta Historiae Naturalium)シリーズは、ほかにBerthold Laufer著のものを購入していた・・(後程、下に挙げます)
文学以前の文学「民衆書」
内容(「BOOK」データベースより)
民衆に読みつがれたもう一つの聖書。《自然について語る人》という表題の本書は、西暦200年に成立した、聖書と並ぶ中世のベストセラーであり、神秘の語彙に満ち溢れた55篇の寓話は、文学と芸術における動物シンボリズムの原典である。
内容(「MARC」データベースより)
フィシオログスとは「自然について語る人」という意味。神秘の語彙に満ち溢れた55篇の寓話の見かけの主人公は、動物であり、樹木であり、石だが、実は人間こそ真の主題。
ギリシア・ロ―マの博物学と、初期キリスト教の教義が、融合してなった「古代博物譚」(奇書)
カレンダー・ゲシヒテン(暦物語)
‥カレンダーにつけられた短い教訓的な話
造形芸術への流入
・・動物シンボリズム
中世における『フィシオログス』の影響は、聖書、『黄金伝説』(レゲンダ・アウレア)に匹敵した
先行・平行文献への言及
プリニウス29回Plinius(23-79)
アイリアノス26回Clsudius Aelianus(175-235)
アリストテレス24回Aristoteles(BC384-BC322)
プルタルコス9回Plutarchos(46-120)
ホルポラン7回Horapollo(5世紀)
ストラボン5回
ヘロドトス4回Heliodoros
ヘルメス文書4回Hermetik
オッピアノス4回Oppianos
AI による概要
中世に人々が空想した動物や生物について解説した「中世動物譚 博物学ドキュメント」。
博品社から刊行された「博物学ドキュメント」は、1990年代に発行された全20冊のシリーズで、中世の動物譚や、サイと一角獣といったテーマを扱っています。これは、動物、植物、鉱物など自然界の事物を研究する学問である博物学に関連した書籍シリーズです。
こちらの本が関連書ですが、図書館にも見当たらず未読・・www
『スキタイの子羊(Documenta Historiae Naturalium) 』
ヘンリー リー (著), ベルトルト ラウファー Berthold Laufer(著), 尾形 希和子 (訳)博品社 (1996)
中世ヨーロッパの旅行記に登場する《子羊を産む植物》は 19世紀にいたるまで人々を惑わし続けた。この奇譚を巡る中国とイスラムの資料を踏まえつつ、初めて明らかにされる〈植物子羊〉の起源と東西伝播の歴史。
→ 植物子羊「ボラメッツ」=
翻訳時の混乱が生む怪物(尾形)
※→ヨーロッパの空想の生き物(怪物)
[1539年に出版されたオラウス・マグヌスの幻想的な怪物地図「カルタ・マリーナ」には、スカンジナビア沿岸の海域に生息する実在の怪物や神話上の怪物が数多く描かれています。フルカラーのイラスト]
続く・・(2015)
続きである(笑)・・(20251017)
「博物学ドキュメント」の博物学というものであるが、松岡正剛さんが
博物学自体が絶滅に瀕した珍獣のようなものだったのだ。 それを荒俣宏が完全復活させた。環境保護をした。つまり「存在をふやす学」としての博物学復古計画が企てられ、・・・
・・と書いておられるが(松岡正剛の千夜千冊)
私には百科辞典を引くごとに、あらっまた宏さんでありました。
アリライオンはこちらに↓
普及版 世界大博物図鑑 1 蟲類 (Amazon)
大型本は1991年8月刊(平凡社)
このシリーズの2冊を買いました。
荒俣宏さんの図鑑は以前「花の王国」を買い揃えましたが、少しづつそろえるのが楽しみでよいwww
この博物図鑑「鳥類」には、ワシタカ類とキジ類のあいだに、なんとガルーダ、グリフォン、サンダーバード、そして大鵬が登録され ・・次が鳳凰で、そこからクジャク、シチメンチョウ、ホロホロチョウ、ツメバケイと進んで、ここでフェニックス(不死鳥)がエントリーできたのだ。
こんな博物図鑑はなかった。まさに人間の想像力と表現力は、細大漏らさず救済されたのである。
「分化以前の知の体系」
細分化された学問の問題は、分化以前の観点がなくなっていくことである。そこにはもはやプリニウスもパラケルススもダ・ヴィンチもキルヒャーもフラッドもいなくなる。いや、人間の歴史文化が生んだ想像力の歴史というものが忘れ去られてしまう。
知というものが共有空間を動いているものだということ
松岡正剛さん―wikipediaが亡くなって1年・・(1944-2024)∧(- - ) 合掌・・
『怪物の友』では「アントライオン」はp190にあります。
Amazonでは私メは2007年雄3月20日に買ったと出てきますwww
(集英社文庫1994)
ヨーロッパの中世には、聖書の誤訳によって生みだされた怪物が、ずいぶん人びとの空想をかきたてたが、その双璧がユニコーンとアントライオンだ。 その源は、『ヨブ記』のギリシア語訳にミュルメコ・レオン(アリ・ライオンの意)とい う造語が四章十一節に登場したことによる。ヘブライ語原原典では、「獲物を得ずに滅びるラ イオン」となっているだけで、和訳でもここはライオンになっているが、意表をつく造語だ ったので西洋に広く普及した。『怪物の友』p190-191
このアントライオンは、じつに不幸な生物といえる。なぜなら、上半身のライオンはガツ ガツと肉をむさぼり食うのに、下半身のアリは肉を一切消化することができない。当時の人 びとは、アリが食べるのは草だ、と信じていたので、この組みあわせは、肉食と草食という ことになる。 したがってアントライオンは、食べても食べても消化できずに痩せていく。飢えるから、 さらに狂襲になって肉をむさぼる。しかしどうしても栄養をとることができず、ついに餓死 する。
この怪物を誕生させたキリスト教の学者たちは、アントライオンを、「欲望に動かされて 身を滅ぼす悪徳」のシンボルと考え、また二重人格者のたとえとして、信徒たちにこの怪物 にまつわる説教をしたといわれる。 アントライオンは自己矛盾の幻獣である。これに匹敵する自己矛盾怪物は、温血動物(人 間)と冷血動物(魚)の組みあわせである人魚しかいない。(荒俣宏)
wikipediaの参考文献は充実しているが、荒俣宏さんがいればあとはいいかなっとwww
wikipedia項目ではさらに、動物寓意譚、イソップ寓話 と続くが・・ここまでで。