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フルール・ド・リスとは?

 花の図像学

Fleur-de-lis-fill

me
フルール・ド・リス(仏: fleur-de-lis もしくは fleur-de-lys)は、物議の多い紋であるが、一般には図案化されたアイリスの花とされる。、ただし、「古くは美しい花なら何でも漠然とlilyと呼んだ」らしいく、また聖母マリアの、マドンナリリーとの結びつきが強調されてきたようだ。

ルイ14世 のfleur de lis


「ルイ14世 の肖像」リゴー・イヤサント
ベルサイユ宮殿蔵
https://www.chateauversailles.fr/ 


額縁のフルール・ド・リス


ガウンのアーミンとフルール・ド・リス
Category:Mantle fleurdelisé in portrait paintings

ブルボン王朝最盛期の王

Louis XIV of France
Portrait of Louis XIV
Hyacinthe Rigaud(1659–1743)
ルーブル美術館蔵

画像はこちらでも見た。絵葉書の画像もこれ。

ルイ14世(仏: Louis XIV、第十四世路易、1638 - 1715)は、ブルボン朝第3代のフランス国王(在位: 164 - 1715)である。 ルイ13世の長子であり、妃はスペイン国王であるフェリペ4世の娘マリー・テレーズ・ドートリッシュである。王朝の最盛期を築き、ルイ大王 (Louis le Grand) 、太陽王(le Roi Soleil) と呼ばれた。(wikipedia

ルイ6世

「図案化されたユリの花、フルール・ド・リスはは古くから仏蘭西と分かつことのできない関係にある」

「フランスとのつながりは興味深い伝承でも説明されているが、実は中央ヨーロッパや中東との関係のほうがフランスより古い」 ( 『世界を変えた100のシンボル』)
⇒(下へ)エジプト・メソポタミアのフルール・ド・リス

12世紀のフランス王 ルイ6世は、最初にフルール・ド・リスを王家のシンボルとして使ったフランス王。 (在位1108-1137 )
共同統治の息子のルイ7世(1120 - 1180) の時とされることもある。

このシンボルと仏蘭西王室の紋章が結びついたのは、
5世紀末~6世紀初頭のクローヴィス1世の伝説が理由とされることが多い。
(wikipedia

Louis VI of France

クローヴィス1世

François-Louis Dejuinne (1786-1844) - Clovis roi des Francs (465-511)

Clovis roi des Francs (465-511)王笏を持つ

クローヴィス1世(仏: Clovis Premier 466頃 - 511)は、メロヴィング朝フランク王国の初代国王(在位481- 511)(wikipedia)

「伝説で、神からクローヴィスへ贈られたという物語のお陰で宗教的シンボルの位置を手に入れた。」


15th-century manuscript depicting an angel sending the fleurs-de-lis to Clovis. From the Bedford Hours in the British Library, London.

シャルル5世

(以下wikipediaから引用)(閲覧20230305)
14世紀後半まで、フランス王家の紋章はフランス語で「D'azur semé de fleurs de lis d'or」という、金色の小さなフルール・ド・リスを撒いた青い盾であったが、シャルル5世は1376年頃、フルール・ド・リスを全体に散らしたものからフルール・ド・リス3つのデザインに変更した。

リス川の花

別の伝説によれば、フランク族が、岸辺にユリが咲く川を安全に渡ってフランスに到達し、その後の戦いに勝利してから紋章として採用したという。

紋章学の専門家は、フルール・ド・リスは百合の花(flower of lily)ではなく、リス川の花(flower of Rivr Lys)」だと考えている。

Abeilles de Childéric Ier
Gold bees of King Childeric I

「花ではなく、クロ―ヴィスの父親キルデリク王のシンボルとして使われたミツバチをかたどったものだという説もある」
(『世界を変えた100のシンボル』、p090-093)

ナポレオン1世のfleur de lis


「ナポレオン1世の戴冠式」ルイ・ダヴィッド ルーヴル美術館蔵


19世紀初めの革命家

François Gérard - Napoleon I 001
Portrait of Napoleon Bonaparte (1769-1821
)Workshop of François Gérard  (1770–1837)

ナポレオン・ボナパルト(Napoléon Bonaparte:那波列翁)は、フランス革命期の軍人、革命家(仏: Napoléon Ier、在位:1804 - 1814、1815)(wikipedia

蜜蜂

百合ではなくミツバチという ナポレオンの紋


蜜蜂 は、
古代の近東及びエーゲ海の文化で見られる蜂は、天上界と地下世界のかけはしと考えっれた。
葬儀の装飾に使用され、ミケーネには、蜂窩(ほうか)状墳墓と呼ばれる蜂の姿の墓が作られていた。
蜂のシンボルは、マヤの蜂の神アフムセンカブなど、メソアメリカ文明でも見られる。
不滅と復活を意味する蜜蜂は、7世紀のフランス王朝時代にメロビング朝のシンボルとされた。
『100の神秘から読み解く世界のシンボル』サラ・バートレット著(鈴木由美編 ボーンデジタル2016)
Sarah Bartlett(心理占星術/イギリスのジサイコスピリチュアルノンフィクション作家)

meこの本は興味深いが少し内容が不明で怪しい。
マヤでは、古代文明の頃からハリナシバチの養蜂を行ってきた、という、・・

スフインクスの髪飾りのfleur de lis!?

『英米文学植物民族誌』によれば、fleur de lisは、「エジプトでもスフインクスの髪飾りに完全な形で彫刻されているという」とある。
これはどうなのか??少し見てみます
ちなみにLilyの項に「古くは美しい花なら何でも漠然とlilyと呼んだらしい」とある。
これは確かに。

「yellow irisの別称、fleur de lis (別名flower-de-luce)、
この花が彫刻や文献にあらわれた歴史はきわめて古い。
紀元前数世紀のMycenae王国では天国の花としてあがめられ、以後、神聖な花として寺院の装飾や紋などに描かれた。」(p206

これであるが、別項として、Lily Iris Lotus(water lily)がある。エジプトの歴史を鑑みるなら、ロータスであろう。


Alexandria - Pompey's Pillar with sphinx
me一見形がフルール・ド・リスに似て見えるが、これは蛇型記章。
・・これの事ではないだろうが、写真が見当たらない、・・
ロータスとして、

ロータス文様
デニウエンコンスの石碑 
大英博物館蔵 紀元前800年ころ
蓮

ミケーネの方も添付写真はない・・
Fresque du printemps, Akrotiri, Grèce
クノvッソス宮殿のフレスコ画「春のフレスコ」
(BC1600年頃 アテネ国立考古博物館蔵)

『西洋装飾文様事典』では、マドンナ・リリーを描いたものであると書かれている。(p435)
しかし、この花の形は、茎を3本もつ花の形にみえ、葉も根もとから生えているので、どうだろうか、
三つ組の伝統か? 


検索

特にスフィンクスの頭の文様?
https://www.mlahanas.de/Greeks/Mythology/Sphinx.html
=====
A Sphinx is an iconic image of a recumbent lion with a human head, invented by the Egyptians of the Old Kingdom, but a cultural import in archaic Greek mythology, where it received its name.
=====
エジプト、ギリシア、絵画にスフィンクスのイメージ集合、特に髪飾りなし
https://ancientegypt.hypermart.net/treeoflife/index.htm

The Osiris Legend and the Tree of Life =====
The fleur de lis traces its origins back to the sacred lotus symbol for "plant" meaning "Tree of Life".
The Ancient Egyptian symbol for "plant" meaning "Tree of Life" was three sacred lotus lilies.
=====


このあたりどうなのでしょうか。
https://en.wikipedia.org/wiki/Osiris(Wikipedia英)
https://en.wikipedia.org/wiki/Tree_of_life
ウィキペディア(Wikipedia):フルール・ド・リス
装飾的あるいは象徴的に用いられる、様式化された花は通常フルール・ド・リスと呼ばれ、全ての時代と文明に共通して見られる。
基本的な図式的主題であり、メソポタミアの円筒印章、エジプトの浅浮き彫り、ミケーネ文明の陶器、サーサーン朝の織物、ガリアの硬貨、マムルーク朝の硬貨、インドネシアの衣類、日本の紋章やドゴン族のトーテムにも見られる。
これについて議論した多くの著者は、フルール・ド・リスが図式的にユリではないことに同意したが、その由来がアイリスか、エニシダか、ハスか、ハリエニシダから来るのか、その形が三叉の矛か、矢じりか、二重の斧か、あるいはハトを表すのかといった点では合意に至らなかった。
このことはたいした問題ではない、というのが我々の意見である。重要なのはフルール・ド・リスが、おそらく花を非常に様式化した図形であり、新旧の世界でほとんど全ての文明によって装飾や紋章として使われてきた点である。

meエジプトのロータス文やメソポタミアのパルメット文の一部を、形が似ているからといって、フルール・ド・リスと呼ぶのは納得がいかない。意味を拡大しすぎの恐れがある。
https://en.wikipedia.org/wiki/Fleur-de-lis
https://www.1911encyclopedia.org/Fleur-de-lis
====
The fleur-de-lis is a common device in ancient decoration, notably in India and in Egypt,where it was the symbol of life and resurrection, the attribute of the god Horus.
====
こちらではオシリスではなくホーラスだが、
とにかく、スフィンクスの髪飾りのそれはまだ見ていない。
とにかく、スフィンクスは 額には王権の象徴であるへび形章をつけている。

エジプト及びメソポタミア

紀元前900年頃ー紀元前300年頃

「フルール・ド・リスは、代々フランス王と一体視されてきたが、古代メソポタミア及びエジプトの陶磁器、紀元前6世紀に建てられたバビロンのイシュタル門にも見られた。」
(『100の神秘から読み解く世界のシンボル』(P40) サラ・バートレット著 )とあるが

Pergamonmuseum Ishtartor 07
パルメット樹

me 上記のバビロンのイシュタル門フルール・ド・リスは牽強付会と思う。

Berlín - Pergamon - Porta d'Ishtar - Lleons
目につくのは、ロゼッタ文であろう。

文献

世界を変えた100のシンボル』(p090
「しかし、それ以前の1世紀に、古代ローマの属領ガリアのコインに描かれていた。
またほぼ同時代のクシャトラバ朝のインドのコインにも登場している。」

me 上記文献には画像がなく、 古代ケルトコイン図鑑古代ローマ「ガリア帝国」のコイン 、アンティークコインワールドというページを見たが、確認できなかった。
Category:Roman imperatorial coins

、 『英米文学植物民族誌』 加藤憲市著
冨山房 (1979)

「フランス王紋のこの花は一応 iris だというが、そもそもこれが花であったかどうか、花であればどんな花であったのかについては、これほど物議をかもしている紋章は他にない。」

「fleur de lis を花とすると、フルール・ド・リス のiris説lily説のほかに、フランクの王が王笏代わりに用いたreedの花だとする説もある。」(p206)

※reed::アシ、茎が強いので、これで矢も作った(p520)

エリザベス二世がこの百合をつけたのは
1340年に血縁を理由にフランスの王冠を要求したエドワード三世が イギリス王紋に取り入れたことから、という記述もある。(p209)

Medal, coronation (AM 2014.7.5-14)
1953年エリザベル二世の戴冠式章
(フルール・ド・リスあり)

ユリ(3)へ、聖母マリアの花、ユリの無い受胎告知