唐草図鑑

唐草図鑑参考文献

世界を駆けめぐる意匠(5)

目次読書(詳細)



受容と新生

立田洋司さんの「唐草文様 世界を駆けめぐる意匠」(講談社選書メチエ 1997年刊)を丁寧に再読[再々再読?]中です。
10章ある中の、その第四章、ページ数は14ページ、6段落、図版数は5。

2009-11-05


ギリシア的風土の薫染(くんせん)

地中海式気候…一般に想像されているよりはっきりした四季の節目がある 建造物の中心は神殿(大理石)…列柱とエンタプラチュア(柱の上の構造物の総称)

有機的な均衡…ピラミッドの量塊感から隔たっている) 「ギリシア神殿というものは、男性的な骨格が強調されるものであってもどこかに女性的な表現が加えられない限り、完成の域には達しなかった」


奇怪な形態

不思議な印象…変形パルメット
不可知的にして閉じていない形態
図38.アッティカの墓碑の棟飾り彫刻
(39と比べて葉の中央部がない 図40のAにあたる)
図39.テラコッタ製アクロテリア[神殿の飾り ネメア博物館]
(38は神殿頂上には全くない。)
紀元前5世紀終わりアテネの墓地ケラメイコスに登場

これについて、これはリーグルの『撒水(さんすい)パルメット』
⇒次章にその名称は出てきていますが⇒「羽ばたきパルメット」とも ⇒ブレーキ箇所



図38.変形パルメット 図39.

なにかもっと真摯な賭けのような…

パルメットが広く愛された理由
形が明快で美しい(きっちり定まった中心から、遠心的に広がってゆくシンメトリックな造形的展開)
古典文化の高貴な徽章たるパルメットを立ち割った
それを真二つに縦割りする勇気・覚悟・緊張、創作や芸術への衝動
(…というフィクション?) (一つ目の成立要因)

造形的開示

図40.パルメットの受容
二分割型パルメット


光は東方より―対獣文からの発想

オリエントの対獣文・対偶文は 中心に造形的な力を集中させるための意匠
いいかえれば、家や都市や国家などの力の象徴

コスモポリタニズム発動の時代

(二つ目の成立要因)
中心軸に力を集中させた「二分割パルメット」は、対獣文の構成と変わるところはない
⇒対獣文を意識した造形的組み合わせの発想から作り上げられた

図41.グリフィンの対獣文柱頭レリーフ
二頭のグリフィン
パルメットに対して差し延ばした前足を意識の展開点として、 両グリフィンを抽象化していく

図42.…図40のCの意匠の発展
(41図と42図は両方ミレトスのディディマのアポローン神殿)


図42で左右に蔓延し始めたパルメットの先端に、忍冬唐草に似た形態があらわれている。
日本の「忍冬唐草文」と呼ばれる文様の起源が片割れパルメットの生まれたころまでさかのぼる例証
時代はおそらく紀元前四世紀から同三世紀初め 片割れパルメットが独自の活動世界を獲得し始めたころ
唐草が意匠として成長し、形態が千変変化に向かう通過点
「唐草の道」がその概念を備える ヘレニズム時代初期…コスモポリタニズム発動の時代
唐草が「道」を歩むための活力は、オリエントの豊穣な表現性や包容力への傾斜していった時代の気質(精神性)

2009-11-12 ここでブレーキをかけます。
10章中5章まで来ましたが、 リーグルをきちんと読んでなかったため 少し対照と咀嚼が必要。
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