母なるものについて |
![]() | 「母なるもの」という言葉がある。 言葉があるということは厄介だ…(??)私がこの言葉で思い浮かべるのは、即ゲーテ(ファウスト※下にリンクあり)なのだけれど、それはともかく、人類の母なるものとして 大地母神、女神、…などを見てみたい。 百科には「大地母神」という項目はなくて「地母神」であった。大地+母神の結合ではなく、地母+神、ということになるらしい。まずはここからみたい。しかしあくまで駆け足でかるく。あくまで「唐草図鑑」のコンテンツとして。大局や「術語」のつながりを見ることにし、今は深入りは避けることにしたい。 |

Gustave Moreauの描いたあの神殿のあの女神である。また、
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2005年09月04日(日) 「神話と古代宗教」(カール・ケレーニィ) (ちくま学芸文庫)読み始めました。
ミノアの蛇を持った女神については「出現」の身振りといってます。 この両腕をあげた身振りは、キリスト教の「オランス」等の身振りも想起させます。 ここで、 地母神というものについて、 平凡社世界大百科事典(吉田 敦彦)から要約すると |
地母神ちぼしん earth‐mother
ギリシア神話の大地女神ガイアは,原古にカオスに次ぎ最初に誕生し, 自分が生んだ天空神ウラノスと結婚して,神々の祖となったとされる。 ギリシア神話では,ほかにも,名前そのものが文字どおり〈地母〉を意味した可能性が強いデメテルをはじめとして, ヘラ,アフロディテ,アルテミスなど, 有力な女神の多くに〈地母神〉の性格が認められる。 |
唐草図鑑のコンテンツとして…ということは、エジプト中心で見たいわけだが、天と地:〈天地分離神話〉というと、まさにこの天空の女神の話であろう。
![]() 早くも問題発生か?(^_^;; この天空の女神はヌト(ヌート)という名前。 ひとまずおいておきます。 ついで、 「有力な女神の多くに〈地母神〉の性格が認められる。」とか ギリシア神話の「大地女神ガイア」とも、いわれるので、女神の方も見ます。 |
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女神
平凡社世界大百科事典(山形 孝夫)より要約すると 女性として表象された神。 普遍的にみられる神表象であるが, とりわけ古代オリエント,地中海世界において重要な意義を担っていた。 〈聖なる花嫁〉,豊饒の女神 バアル神話の女神アナトAnat, エジプトのオシリス崇拝における女神イシス, ギリシアやフェニキアのビュブロスのアドニス信仰にみられる女神アフロディテなど, いずれも男神=花婿の死を嘆き悲しみ,死者の国から花婿を連れ戻すために闘う戦勝の女神として知られている。 |
主著『永遠の回帰の神話』(未来社)・『シャーマニズム』(冬樹社)・ 『生と再生』(東京大学出版会)・『エリアーデ著作集』(1〜13せりか書房) M.エリアーデの《大地・農耕・女性》によると, ・古代地中海世界に広くみられる女神崇拝は,古代社会における農耕儀礼に,その起源をさかのぼることができる ・古代人にとって,農耕は植物生命再生の神秘のドラマであり,決して単なる技術ではなかった。 平凡社世界大百科事典(山形 孝夫) フレーザー(1854-1941)《金枝篇》 ・古代人の魂をとらえた大地の上で演じられる壮大な生と死のドラマ ・植物霊を象徴する男神の死を悼む女神の慟哭にはじまり,その復活再生の祈願を経て,熱狂的な再生の歓喜で終わる一連の儀礼として定型化されていた。 ・このような儀礼において,女神は,植物生命の再生を左右し,農耕社会に豊饒をもたらす原理として,その機能を果たした。 平凡社世界大百科事典(山形 孝夫) スミスWilliam Robertson Smith (1846‐94) の《セム族の宗教》 (1889) W.R.スミスの《セム人の宗教》 ・古代セム民族は,大地と女性とを同一視していた。神の〈聖なる花嫁〉の原型を伝えるもの キリスト教のマリア崇拝も上のような背景を抜きにしてはありえなかった。 折口信夫(1887〜1953)(Wikipedia) 常世国 (とこよのくに) のまれびと神来訪とその歓待につくす処女の役割に関する民俗学的研究 石田英一郎(1903-1963)は《桃太郎の母》で,古代日本人の原初的母神信仰を,古代地中海世界における母権社会との関連の中で比較文化史的に追究。 はてな 桃太郎や一寸法師の昔ばなしの中に見られる〈水辺の小サ子〉の背後にひそむ 母性像の源流を原始大母神と子神にまで遡及させる。 併録「月と不死」「隠された太陽」「桑原考」「天馬の道」「穀母と穀神」等 |
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「普遍的にみられる神表象であるが,とりわけ古代オリエント,地中海世界において重要な意義を担っていた。」という、「 とりわけ」というのがわからないが、おいてきます。(ビーナスの方に出てくるようです。) J.G.フレーザー《金枝篇》については、王という漢字考察で、別ページに。 折口信夫・石田英一郎《桃太郎の母》…これまた、大昔に抜書き要約したノートがあったかと思う。 「古代日本人の原初的母神信仰を,古代地中海世界における母権社会との関連の中で比較文化史的に追究」とあるが、 バ(ッ)ハオーフェンが唱えた 「母権制」matriarchyというものは、結局はなかったってことになったらしい…。 とにかく、「定説だと思っていたら、違っていた」ということで、 そこら辺ブランクあるので、へぇ〜〜… なお、これに関連して、 「アッティカの春」のページのあるDELさんに「マザーネイチャー」という本を教わった。
とにかくここで「母権論」を見ておきたい。
それはそうと、バッハオーフェンだが、「彼は, 乱婚制→母権制→父権制という進化の図式を示し,進化論者としての名を高めた。 彼の結論は今日必ずしも支持されておらず,また 母系と母権を混同していることに大きな欠点をもつとはいえ, 母権・父権といった現象を孤立的にとらえず, 宗教体系や世界観との関連を重視することで 機能主義の立場をすでに先取りしていた点は評価される。 さらに実証的方法を法学に導入した学者としてもその功績は大きい。」 とか 「シンボリズムの先取り」とかは、ちゃんと評価されているようだ… |
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宮本百合子の読み方〔一九三九年三月〕 も読み方だし 松岡正剛さんの「千夜千冊」での話「実に豊富な神話社会の読み替えに満ちている」っていうのも読み方だし 「ロマン主義者バハオーフェン」ってのもありのようだ。(またみることにしたい。) |
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平凡社世界大百科事典(谷口 佳子) 母権制 ぼけんせい matriarchy (1) 財産や集団の成員権などが母系をたどって伝えられ (母系制),(2) 婚姻生活が妻方の共同体で営まれ (妻方居住婚), (3) 家族内外で女性が優越的地位を有する (家母長制) という一連の要素を内包する社会制度をさす。 原始母権制説を唱えたバッハオーフェンによれば,人類の最も原始的な段階では乱交的性生活が営まれ,血縁関係は母系的にたどられた。子どもは母方に居住し,確実に知られる唯一の親として母親が尊敬された。母親への尊敬は女性が社会的・政治的に権威を有する〈女人政治制〉を形成し,このような社会が父権制成立以前の原始段階に存在したという。だが未開社会の調査資料によれば,母系制や妻方居住婚規制を有する社会でも男性が家族の実権を握っている場合が多く,家産の管理運用権は母の兄弟から姉妹の息子へと継承される。さらに女性が政治権力を専有し,世襲的に継承する社会は現存せず,真に母権制と言いうる社会の存在は疑問視されている。 |
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中村雄二郎さんの「述語集」(1984)ですが、
初めのものの40語のひとつを「女性原理」として、副題に母権制をとりあげています
近代知の批判のなかで「もっとも大きな射程を含むもの」として
バッハオーフェンの先駆性を逸することができない、としている。
「述語集U」(1997)の方の40語は「フェミニズム」になりますが
多くの要素含みわかりにくいものになっている、としています… 副題「グレートマザー」他 これについては、後ほど… |
聖婚 せいこん 〈聖なる結婚〉の意で,男神と女神の結婚, あるいは神と人間との結婚のこと。ギリシア語のヒエロス・ガモス hieros gamos,それに由来する英語ヒエロガミーhierogamyなどの訳語であり, 〈神婚〉ともいう。神が人間と結婚する形式の聖婚神話 (伝説) は,英雄の生誕 (英雄神話) や特定家系の由来を基礎づけていることが多い。 |
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平凡社世界大百科事典
(山形 孝夫)
【聖婚儀礼の諸相】 聖婚儀礼は,古代オリエントやその周辺の社会でとりわけ広く行われていた。 聖なる花嫁と穀物神に擬せられた王との婚姻を原型としている。 宗教学的には,大地の豊穣を確実にするための象徴儀礼であり,その背後には,地母神に対する崇拝が存在していた。 M.エリアーデによると,古代オリエント社会に広く分布したこうした性風俗は,一般に古代社会における農耕儀礼に,その起源をたどることができるという。古代人にとって,農耕は植物生命再生の神秘のドラマであり,農耕労働は,地母神の体の上で行われる儀礼そのものであった。女神キュベレは,年ごとにその死が嘆かれて春に草木とともに再生する植物霊のシンボルである男神アッティスの再生を左右する原理としてきわめて重要な役割をになっていた。 |

長野県の某所の縄文祭りでのビーナス
Photo byM 2000/10/29(日)
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矢島 文夫
(平凡社世界大百科事典) ビーナス Venus ローマの女神ウェヌスVenusの英語名。ウェヌスはもとはローマの菜園を守る小女神であったが,のちにギリシアの女神アフロディテと同一視され,愛と美をつかさどる女神の総称となった。[旧石器時代]の地母神崇拝 ビーナスの原型およびビーナスにまつわる神話は, 太古の地母神崇拝に起源をもっている。 植物を生ぜしめる大地を地母神(大母神) とみなす思想は,古代世界各地に見られる。 有名なものには, 旧石器時代にさかのぼる〈ウィレンドルフ Willendorf のビーナス〉や 〈レスピューグ Lespugue のビーナス それらの多くは大きな乳房,太い腰によって母性であることが強調されており,しばしば様式化された性器が示されている。 このような裸体女人像はメソポタミア,小アジア,インドからきわめて多く出土し,その分布はユーラシア大陸の大部分にわたるといわれる。 |
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ビーナス神話 [古代西アジア]新石器時代後期に, この地母神崇拝から特定の女神の崇拝が派生した。 今日知られている最古の〈ビーナス神話〉は シュメールの女神イナンナInannaと男神ドゥムジに関するもの 《イナンナの冥界下り》と呼ばれているシュメール語文書。 ⇒バビロニア,アッシリアへ伝えられ, 女神イシュタルが男神タンムズ ※(シュメールの〈ドゥムジ〉がなまったもの) を探し求めて冥界へ下る物語 (約 140 行) となっている。 冬季に入って地下に消えた植物神を母である女神が探し求めるという神話とみなすことができる。 ⇒シリア,フェニキアではアスタルテ,アシュタロトと呼ばれ,本来の地母神的性格は薄くなり, 愛と美の女神としてしばしば裸身の処女の姿で表現された。 天体神としても性を支配する金星を代表し,その神殿は男女の交歓の場となった。
[ギリシア・ローマ] メソポタミアの〈タンムズ神話〉の変形とみなされる。 ここでは美少年アドニスをめぐってアフロディテおよびペルセフォネ (あるいはデメテル) が争い ,結局 2 人が半年ずつアドニスと過ごすが,アドニスはイノシシによって殺され, その血からアネモネが咲き出たとされる。 ⇒ローマに入り,女神はウェヌスと名を変えるとともに, オウィディウスやアプレイウスらの文人の手によって,愛の女神としての官能的性格が強調されるようになった。 ビーナスは多くの場合,裸体の美しい女性の代名詞となっている。 |
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要するに、ビーナスも聖母もまた、太古の地母神崇拝に起源をもっている、ということであった。 「植物を生ぜしめる大地を地母神(大母神) とみなす思想」であるが、 その「太古の地母神崇拝」は起源は古代エジプトにはないようだ。メソポタミアの方である。 「冬季に入って地下に消えた植物神を母である女神が探し求めるという神話」の方は、オシリス神話に似ている面もある。 オシリスが殺されて冥界神になる話。 地下ではではなく国中であったが妻のイシスが探し回る。 「再生する植物霊のシンボルである男神の再生を左右する原理」であるか。 「オシリス神話」を見ていたとき、タンムズの名前は出てきていた。 オシリス神話はだいぶあとになる。 |
| さて、、以上を見てきて ヌトを考えると、
天空の女神ヌトは全部を「包み込んでいる」という形からの意味で、「女性原理」(中村雄二郎「述語集」)であるともくくれる。
最も古いエジプトでは、母なるものを、植物ー生命を生むもの、とするのでなく、太陽を生むもの、とした。地母神を見ることで、それが特別なことがわかる。
外観:
星で覆われた裸体で大空の形に身をかがめた姿か
※ヌトは天空の女神だが 樹木の女神のこともある 最古の宇宙生成論:ヘリオポリス系神話 |
ちょっと補足
つながりをみておくことにします 2006/05/13
古代エジプトの、最も初めの4人の始原の女神たちは蛇であったともいわれる。
…
(ヘルモポリス系神話)
⇒女神 エジプトの原初の蛇
⇒植物崇拝(フレーザー)
※※(別の方面から:猫と聖母http://www.nekomegami.com/basted/mother.html)
| 蛇 (文献) |
2011-01-16、2009-07-242006/03/12 (Sun) Last modified::2007/12/02 (Sun)