唐草図鑑
聖樹聖獣文様

唐草とともにある聖獣

マカラ龍


バンテ・スレ本殿のレリーフ 10世紀・カンボジア(ハックスリーの本での紹介)
*正しくはバンテアイ・スレイBanteay Srei 北経蔵彫刻

バンテアイ・スレイは、精巧で美しい彫刻が全面に施され、 「クメール美術の宝石」と賞賛されている。 967年に創建されたヒンドゥー教シヴァ派の寺院。*https://www.geocities.jp/expensive_high14/



龍とドラゴン -幻獣の図像学-イメージの博物誌 13
フランシス・ハックスリーはアンコール・ワットのマカラ龍の説明をしている。(p31 )

アンコール・ワットの入口の上の楣(まぐさ)には、「入口」であることを示すために、 身体に花輪模様をつけた二匹のマカラ龍が彫られている。
その上は想像上の扉になっていて、そこを走り抜けるものだけがマカラのサインを読み取るのだが、その門も二匹の龍に取り囲まれている。
さらにその上にも別の一対の竜がいて、告知をより確かめさせている

カンボジアは、マカラとナーガの国、水神たちと神々の国であり、貯水池と灌漑水路の国である。 貯水池にはどこでも寺院がもうけられていて、、そこでは水の神性が龍の姿に表されて信仰されている。 中国人も言うように、「水は龍によってあらわされるからである」
中国人はまた「龍は九子を産む」と述べているが、 そのうち二匹は、ヴェトナムの寺院の装飾となっている、 すなわち蚩吻(しふん)(龍の第三子) ものを呑むのを好むので、もろもろの悪を呑み込むために屋根の棟木に置かれている。 龍の嘲風(ちょうふう)(龍の第四子)はもろもろの善をまき散らすのでひさしに置かれている。

(2011-04-04)

このF・ハックスリーの本にあるマカラ言及のもう3箇所

バビロニアの創造叙事詩の神々の首領アヌの息子エアは、上半身が羚羊(かもしか)で、下半身は魚。「羊の角」ないし「半羊半魚」であった。
インド人ならこの「半羊半魚」をマカラ、すなわち「水中の火(アグニ)」にあてはまるだろうか。
これは、哺乳動物の頭を持ち、その口から蓮の花を生やしている鰐であった。p66


(中野美代子訳註で「makaraは海獣の一種で、海豚とも鰐とも訳され、愛の神カ―マの旗標となっている」とある)

ドラゴンのまことの姿が女神もありうることは少しも不思議ではあるまい。
観音の蓮は、我々をあのマカラや「半羊半魚」のもとへ運んでいってくれるのだ。 マカラ達の出生の場所はエアと同様深海であった。 そして蓮のつぼみは、黄金の宇宙卵をとりこんでいた。p74


p98にパリのギメ博物館蔵のマカラ チャム彫刻 ベトナムのCham Sculptureの解説

チャムの怪物は、どことなく象に似ているが、獅子や鰐とも連想される。何かの動物の角をつけているが、 耳ときたら、誰も見たことのない熱帯の花のようである。


WEB検索

https://www.angkor-ruins.com/ruins/banteaysrei/banteaysrei.htm

装飾的な「密度」が驚異的であることに気づく。アンコール遺跡の中で群を抜くレリーフ加工の技術と、その「実装密度」に加えて、特異で強烈な色彩が強い印象を与える。

Bas-relief -浅浮き彫り

https://iseki.travel-way.net/cambodia8.htm

中野 美代子(Wikipedia

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マカラMakaraの図像マカラ龍(F・ハックスリー)(このページ)|立川武蔵さんの『聖なる幻獣』を読む・・獅子関係図像


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