唐草図鑑

獅子のシンボル

猊下のライオン

獅子 王権と魔除けのシンボル (アジアをゆく)

(荒俣宏著 大村次郷/写真 集英社 2000年12月刊)



目次

ライオンから獅子への旅/ 王権を誇示するライオン/ 王城守護獣のルーツを探る
________ここまでは「獅子」(1)

星と太陽とライオンと
猊下のライオン

________これ以下は「獅子」(3) ネパールの宝珠を冠った獅子/ 獅子の国、獅子の山/ 須弥山に吠える聖獣/ 舞い踊るアジアの獅子たち/ 漢字の国にやってきたライオン/ 高麗にはいなかった狛犬/ イメージジャングルの獅子狩


星と太陽とライオンと

生命の創造や再生を約束するシンボル


ペルシアの英雄王の史伝「王書 」(シャーナーメ)
多くの王に「ライオンの心を持つ勇者」という形容が与えられている
もっと深遠な意味・・「暦」
一年の太陽の位置を十二宮に関連付けた「獣帯」(じゅうたい)観念の普及は、ライオン像を季節の変化や時間の推移のシンボルに変えた。
「獅子宮」(現行暦の7月から8月)
古代西アジアではこの時期を「春」とした。 (万物が生まれ育つ時期)
ライオンは生命や蘇りを表す
古い季節や旧年を象徴する牛をライオンが襲う
占星術によって暦の体系を築いたバビロニア
月神シンを崇拝・・ライオンは新しい生命サイクルの象徴となった 師をもたらすネルガルの持物というイメージを重ねる
季節と結びついたライオンは、エジプトでさらに重要な意味が加えられた
エジプトでは獅子宮に太陽が入る月に、ヘリアカル・ライジング現象が起きる
(シリウスが太陽を追いかけるようにのぼる)エジプトではこの日が暦の始まり (ナイル川の増水)
ライオンは口から水をはきナイルに実りをもたらす象徴となった)

グリフォン

図p35  柱頭のグリフォン(ライオンと鷲が合成された幻獣)
全5-4世紀
Persepolis ペルセポリス遺跡(アケメネス朝ペルシアの首都の一つ) アバダナ宮殿=謁見宮
大広間には一度に数千人が収容できた 72基の円柱には実在または架空の動物が彫刻されていた
ダレイオス一世(Wikipedia)が標高1100mの平原に建築を始めたのが前512年。 息子のクセルクセル以下の後継者が建築を続けるはずであったが、 前330年 ダレイオス3世(Wikipedia)の時、アレクサンドロス大王(Wikipedia)軍に火を放たれて炎上した (p36)

グリオォン(ペルシア語ではホマ)=イラン航空のシンボル(写真
写真の見られるサイト
※※※「ハシムの世界史への旅」ペルセポリス(概観がわかる)
※※写真でイスラーム「この双頭鷲像の特色は、からだがライオンであること」
※※えるだまの世界旅行(exblog.jp) (グリフォンの「正面の顔」あり)
※※さるみみの見た世界 (blogs.yahoo.co.jp/)(周囲がわかる)
All About > 世界遺産 「古代オリエントの夢の跡 聖都ペルセポリス」
https://www.persepolis3d.com/
https://www2.ttcn.ne.jp/rockwell/
https://my.opera.com/f-majidi/albums/show.dml?id=879261
(検索のおまけ)
ルーブル美術館高さ5.8m、牡牛の柱頭

ペルセポリス遺跡 タチャラ宮殿跡=ダレイオス一世の私生活の場
立ち上がるライオン

ライオン、牡牛と蓮華文様

ペルセポリス百柱の間レリーフ


ペルセポリス遺跡 百柱の間 天蓋部分の浮彫
ライオン、牡牛と蓮華文様(蓮華文様は区切りに使う)
前6~5世紀
(注) ここで「蓮華文様」というのは荒俣さんの解釈

ペルセポリス遺跡 トリビュロン宮殿 階段側壁
牡牛を襲うライオン

※写真の見られるサイト「ハシムの世界史への旅」ライオンと王の闘争像

検索
https://www.st.rim.or.jp/~kiseo/program5.pdf


ペルシア帝国 (「知の再発見」双書)
ペルセポリスで検索すると いずれもLIONの表紙ですね


猊下のライオン

仏教の国で、獅子の咆哮は信仰を広める王の声となった



猊下=(構想や悟りを開いた賢人) 元来はサンスクリット語の獅子(シンハ)=ライオンの下(足元)
ヴェーダ(2500年前のインドーアーリア人の教典)・・ライオンはその吠え声によって侵入者への警告を発し、不信心者を懲らす
インドで王権に結び付けられた獣は虎
即位に虎の敷物が使われた

自らをヘラクレスの再来と称し、ライオンの冑をかぶってインドに侵入したアレクサンドロス大王以後、西方の象徴的彫刻が流入

マウリア朝アショカ王(在位前268頃~232頃)は西方のリアルな獅子を好んだ
仏法を広め詔勅を伝えるための円柱を各地にたてた時、頂部に四頭の獅子を置いた
四方位と年暦を支配し、
その吠え声に載せて王の命令を国中に響かせるという造形

アショカ・ピラー

釈迦の「ヴァイシャーリーは美しい」という言葉で名高い北インドの都市に今も立つ アショカ・ピラー
※ヴァイシャーリーは 2300年前の建立当時のまま、完全な形で残っているアショカピラーで有名(柱頭には一頭の獅子が乗る)(河合哲雄さんの写真が見られます
インドの国章Wikipedia
インドの国章は、サルナートにおける「アショーカの獅子柱頭(Lion Capital of Asoka)」から受け継がれたもの


図p43 仏陀坐像 2世紀北インドカトラー出土 マトゥラー博物館
[LIONをしたに敷きまさに猊下のLION』
河合哲雄さんの写真でこの坐像が見られます

翼のあるLION

図p44-45  北インド 屈指の仏教遺跡 サーンチー第一塔東門 翼をもったライオン (前3世紀から後11世紀にわたる広範な遺物・遺構が残る)
(※膨大な写真の見られるサイトhttps://kawai51.cool.ne.jp/

図p46 (西インド)エローラ石窟寺院群の第16窟ヒンドゥー教寺院カイラーサナータは、756年から100年以上かけて作られた。

シヴァ神を祀る本殿の基壇を支えるかのように配されたライオン像の彫像

※※Wa☆Daフォトギャラリー
Wikipedia世界遺産エローラ石窟群


図p47  拝殿の屋根に、ライオンが四方に睨みを効かせている。 「LIONが乗っている円形の蓮華台は生命の源である太陽の象徴であろうか。東アジアでは牡丹の組み合わせにつながるようでもある。」

図p47  エローラ第29窟 寺院南門の右側の丸彫のLION(6世紀ごろ)
※※感動写真集(https://wadaphoto.jp/kikou/erora1.htm

図p49 太陽神スーリヤが祀られているコナーラク拝殿  入り口の彫像 象に覆いかぶさるLION(13世紀)東インド オリッサ州
象よりずっと大きい
※※寺院の公式サイトにある写真https://konark.nic.in/intro.htm
※(Wikipedia

図p50 LIONはシヴァ妃ドゥルガーの乗り物
南インド、マハーバリプラムの海岸寺院

世界遺産マハーバリプラム ライオン柱の石窟寺院
※※※神谷武夫とインドの建築(https://www.kamit.jp/

図p51 ドゥルガー・プジャ(Durga Puja)の日、街中の祭壇に女神が飾られ、ライオンが従う。(祭りがおわるとガンジス川に流される)西ベンガル州、カルカッタ
シヴァの神妃で 8本の腕をもつ女神
※(Wikipedia

図p52 シャトルンジャヤ山ジャイナ教寺院群 アーディッシュワラ寺院
シカラ・タイプ(四角錐の尖塔)の屋根に鎮座するライオン群(960年創建16世紀に改築)西インド、グジャラート郡

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ライオンから獅子への旅/ 王権を誇示するライオン/ 王城守護獣のルーツを探る
________ここまでは「獅子」(1)
星と太陽とライオンと/ 猊下のライオン
________これ以下「獅子」(3)

ネパールの宝珠を冠った獅子/ 獅子の国、獅子の山/ 須弥山に吠える聖獣/ 舞い踊るアジアの獅子たち/ 漢字の国にやってきたライオン/ 高麗にはいなかった狛犬/ イメージジャングルの獅子狩


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