遅まきながら、矢野憲一さんの「杖」を読了。
ものと人間の文化史 というシリーズで1998年法政大学出版刊です。
このシリーズには吉野裕子さんの蛇の本もあれば、安達巌さんのもあり、 今アマゾンで見たら矢野憲一さんの本は、まだまだいろいろこのシリーズにありました・・・


以下で、矢野さんの本を見る前に、このサイトのテーマ:唐草との関係ですが、これは唐草図像に密接にかかわる蛇図像(重要なシンボルであるアスクレピオスやヘルメスの杖の図像)をもうすこしみるためです。また、杖その2にてエリザベス2世の戴冠式の杖に関連してドレスの文様「リーキ」なども見てみました。
ここで WEB検索です。矢野さんの網羅的な著書に比べ、 Wikipediaは全然アサイ!という感じですが、 http://ja.wikipedia.org/wiki/杖 ちょっとまとめてみます。
杖(つえ、Wand)英語におけるwandは魔術などとのかかわりで伝説や物語に登場することが多いが、元来は農具だったといわれる。日本語での杖にはステッキ(stick)の意味も含まれる。

目次(Wikipedia)
* 1 象徴的な使用 * 2 礼装的な使用 * 3 魔女、魔術的な使用 * 4 奇術師による使用 (ケーン) * 5 仏教における杖 * 6 キリスト教における杖 * 7 武術としての杖 * 8 刑具としての杖 * 9 登山用の杖 * 10 その他の杖 * 11 その他

ほかのWikipedia項目では、 権杖(けんじょう)  司教杖、 牧杖あるいはバクルス(パストラルスタッフ)、鳩杖(はとのつえ)がありました。

なお、 杖 の検索結果 約 9,050,000 件中、唐草図鑑のページでヒットするのは 430 件目でした。 ヘルメスの杖の 2匹の蛇=== 大地の治癒力を伝える蛇の絡んだ杖を持っていた。 最もよく知られているカドゥケスは、ヘルメス神の持物で、 ヘルメスはこの杖を印として、冥界・地上界・天界を往復し、 神々の相互の意思や、特にゼウスの命令を伝える伝令の役割を果たした。===

ステッキ(杖)の専門店「『転ばぬ先の杖』」のお店
チャップリンと杖
粥杖
アロンの杖
*アスクレピオスの杖 *ケリュケイオンの杖 矢印矢印


目次読書です

内容(「MARC」データベースより)
神の依代としての杖や仏教の錫杖に杖と信仰とのかかわりを探り、人類が突きつつ歩んだその歴史と民俗を興味深く語る。多彩な材質と用途を網羅した杖の博物誌。
[BOOKデータベースより]
「杖をつき」、「杖を頼り」に歩んだ人類の歴史を辿り、杖と民俗・信仰のかかわりに「杖の探り」を入れる。

第1章 杖の謎(杖のはじまり;杖とは何ぞや ほか);
第2章 神の杖・仏の杖(杖のいろいろ―古代〜中世;神は杖つき伊勢に来たまう ほか);
第3章 杖の民俗学(杖立伝説;卯杖の行事 ほか);
第4章 すてきなステッキ(杖のいろいろ―近世;西洋の杖の象徴するもの ほか);
第5章 とことん杖を(杖のことわざ;杖の迷信 ほか)

矢野憲一さん:1938年三重県生まれ。国学院大学文学部日本史学科卒業。62年伊勢神宮に奉職。現在、伊勢神宮弥宜、神宮司庁文化部長、神宮徴古館農業館長。著書に「魚の民俗」「伊勢神宮の衣食住」など。


第1章 杖の謎

杖のはじまり


原始の道具の素朴な融通性のある 木の棒が、多目的な道具として活用されたことに始まる
雨宝童子(伊勢金剛証寺)の棒のような杖(棒との区別難しい)

杖とは何ぞや


クエスチョンマーク?・・・ 下の点がアトム(地球)、その上の曲がったものは古代のlituus(錫杖)という説あり
疑問が杖で示されている
突く枝が語源ではなかろうか

古代の杖


日本の文献に杖がはじめて出てくるのは『古事記』
イザナギがまず最初に禊払に持っていた投げ捨てる
太古の旅や外出の必需品
杖と書いてミツエと読ませる(尊敬語) (ミは霊と同根・・岩波古語辞典)

杖の考古学


茶臼山古墳古墳出土・・玉杖・・新石器時代以来、中国では軟玉(ネフライト)を愛好

『万葉集』の杖探し


杖衝きも衝かずもわれは行かめども君が来まさむ道の知らなく
丹生王 (「杖をついてもつかなくても、お迎えに行きたいけれどもあなたのかえっておいでになりそうな道がわからなくて」にふのおほきみ)
この杖はいずこの杖ぞ・・・ 神楽

正倉院の杖


杖刀(ジョウトウ=仕込み杖)
呉竹鞘御杖刀 (くれたけのさやのごじょうとう) (国家珍宝帳・・北斗七星・・聖武天皇の護身用品)
玳瑁(タイマイ=ウミガメ鼈甲)竹形杖 バチルという象牙彫刻、八角形杖
仮斑竹杖(げはんちくのつえ)
白銅錫杖

古代の杖刀人

(大君の側近ガードマン)

第2章 神の杖・仏の杖

杖のいろいろ―古代〜中世


『信貴山縁起』(平安後期) 山杖(自然の木)
空也上人像 撞木杖(鐘や鉦を鳴らす)

鹿杖(かせづえ)


空也上人像(六波羅蜜寺)
なぜ聖が鹿の角をつけた杖を持つのか・・・
山中で修行中夜毎に鹿が来ていた。その鹿が 平貞盛に殺されたのを哀れに思い、鹿の皮は身にまとい角は杖頭に挿して鹿を偲んだという伝説

WEB検索
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/2240293.shtml


神は杖つき伊勢に来たまう


二千年昔、垂仁天皇の皇女、倭姫命が天照大神の理想の宮地を選ぶために杖を手にされて長い旅をされた 憑依:物=ヨリシロ(依代)、人=ヨリマシ
特に倭姫命と歴代の斎王と賀茂神社の斎院は御杖代ミツエシロという

モーゼの杖


コーランの原義・・・読まれるべきもの(アル=クルアーン)
20章『われはアッラーなり。われのほかに神はなし。ところでモーゼよ、何時の右手にあるものはそは何ぞや』
『これは杖なり、われこれにもたら、またわが羊のために木の葉をうちおとし、そのほかいろいろと利用いたします。』
『モーゼよ、その杖を投げよ 』
みよ、それは蛇に変じたり。
杖は民を導く道具

錫杖と 拄杖


仏教の錫杖と 禅僧の拄杖(しゅじょう)

(以下続く2010-01-30)
いよいよアスクレピオスの杖です

医学のシンボル アスクレピオスの杖


アスクレピオスの杖の研究者は古川明氏医学と薬学のシンボル―アスクレピオスの杖とヒギエイア(ハイジア)の杯
蛇信仰・・・ギリシアでは神聖な動物として、アスクレピオスのほかに、ヒギェイア、ゼウス、アポロン、アテネにも蛇を配している
アスクレピオスという名は「魔法の杖を手に持つ者」を意味するという(A・カルノワ) 地上に生長する植物的生命のシンボルの杖
アスクレピオスの杖は、巡礼の杖、牧羊杖、魔術の杖、占い師の杖、キリスト教の司教杖、仏教の錫杖、ヒンドゥ教の梵杖などと同じく、権威、命令、力の象徴だった

医学と蛇と杖の関係が認められる最も古い例


一匹の蛇が絡まる杖
古代ギリシアでは神官・医巫が蛇に患部をなめさせる治療を用いていた
アテネ考古学博物館「神官アンフィアラオスの治療に対する患者の謝礼奉納レリーフ」(紀元前380年ごろオロボス神殿)
催眠状態でベッドに横たわる患者の肩を蛇になめさせている図
医学と蛇と杖の関係が認められる最も古い遺物は
紀元前二千年か三千年前のカルデアの杯
(1870年代にイギリスの考古学者が発掘) 南バビロニアの王が治癒神ニンギンスイジータに奉納した 暗緑色の石の杯
二匹の蛇が絡みつく木が彫られ「生命の延長による健康の維持」と記してある(ルーブル美術館蔵)
ドラカンクルス症という 寄生虫による病気で寄生虫を皮膚の潰瘍から除去する手段として 細い棒を用いて虫を巻き上げる この虫を蛇に置き換えた

もう一つの薬学のシンボル、 ヒギエイアの蛇杯


アスクレピオスの娘ヒギエイア=神殿で聖蛇を飼育し患者に奉仕した健康の女神
アスクレピオスの杖が日本に紹介された最初は、 杉田玄白の『蘭学事始』にもある ハイステル「外科学」で、扉絵にアスクレピオスの杖が描かれていた
蛇のまつわりつく杖をヨーロッパの医師たちが医師のシンボルにしたのは17世紀から

http://wwwsoc.nii.ac.jp/mediterr/geppo/277.html
アスクレピオスと娘のヒギェイアに奉納されたレリーフ(前325年頃ベルリン,古代ギリシア・ローマ美術コレクション)
http://lemonodaso.exblog.jp/9288096/


商業のシンボル ヘルメスの杖


ヘルメスの杖には二匹の蛇がからみつき、杖の上のほうには翼が付いている
アスクレピオスの杖との混乱
誤解のはじまり} 1516年にイギリスの医学出版社が商標が 二匹の蛇を杖に絡ませ、杖の上にハトを泊らせ、杖の元を人の手が握るマーク
1856年アメリカ陸軍軍医部ヘルメスの杖をシンボルとする
1927年オーストラリア空飛ぶドクターの会翼のつくヘルメスの杖をマークに採用
1956年第10回世界医師会会議で医学と関係のないヘルメスの杖を使用しないように呼びかけ
(古川吉明博士による)

杖その2に続く・・・イギリスの戴冠式の杖
王笏(Septre)2本
+エリザベス二世のドレスの文様 リーキ?

その3第三章 杖の民俗学(目次読書)


First updated 2010-01-28

聖獣文様エジプトの目次
|Ankh アンク| Djed pillarsジェド柱|tyet チェト|Ouasウアス杖
ヘルメスの杖アスクレピオスの杖| |プタハ神の笏


HOME

獅子紋章風
聖樹聖獣文様
聖獣概観
生命の木
 獅子
唐草目次
文様の根源
文献
用語
サイトマップ
唐草図鑑

クレオパトラ



イメージ研究

シンボル ドラゴン 龍 蛇
荒俣さんの図像の本
古代エジプトの本