唐草図鑑
聖樹聖獣文様

西洋の芸術(中世)

Jacqueline Leclercq-Marx

ところで、http://www.koregos.org/fr/auteurs/jacqueline-leclercq-marx/で論考が2014年9月から2つ公開されていました。
http://www.koregos.org/fr/jacqueline-leclercq-marx_la-sirene-・・=サイレンの方がメインのようですが、まずは・・
こちらの論考(仏蘭西語)を Du monstre androcéphale au monstre humanisé . À propos des sirènes et des centaures, et de leur famille, dans le haut Moyen Âge et à l’époque romane(人間の頭のモンスターヒューマノイドモンスター。中世初期、ローマ時代の人魚やケンタウロス、及びその家族、について)
図も13あった。それも、大サイズで。 画像検索

■Fig. 1 – Diptyque d’ivoire dit d’Aerobindus. Revers (France : Tours ?, 3e quart IXe s.). Paris, Musée du Louvre.
アレオピンド ゥスの二連板(ディプティク) 9世紀@ルーブル美術館 →2014k/romanesque_ogata2.html

■Fig. 2 – Bestiaire (Angleterre ?, 1120/30). Oxford, Bodl. Laud. Misc. 247, fol. 147 v.

Bestiaire=動物寓意譚

乳を吸う「吸乳」

図3~9はすべてsuckling(乳を吸わせてている)シーン

□Fig. 3 – Bâle (Suisse). Cathédrale Notre-Dame. Chapiteau (v. 1200).
バーゼル大聖堂、スイス

□ Fig. 4 – Fribourg-en-Brisgau (Bade). Cathédrale Saints-Alexandre-et-Lambert. Chapiteaux contigus (déb. XIIIe s.).
フライブルク(独逸)

この図像に驚いた。人頭で手も足もあって、お尻に魚身をくっつけている??しかも右のは二又である

Fig. 5 – Strasbourg (Bas-Rhin). Cathédrale Notre-Dame. Bras nord du transept. Ciborium de l’autel de Saint-Laurent. Détail (v. 1170/76?).
ストラスブール大聖堂(仏蘭西)

こちらの図像も二又人魚の乳を吸っているのは、ケンタウロス??

Fig. 6 – Serrapio (Asturies). San Vicente. Chapiteau roman.
サンビセンテ教会(Serrapio)スペイン

■ Fig. 7 – Iffley (Oxfordshire.). St Mary the Virgin. Portail sud. Chapiteau( XIIe s.)

こちらの図像はARTHUR H. COLLINS,の研究1913 の図35aと同じものでケンタウルスの子 

聖マリアヴァージン、イフリー

■ Fig. 8 – Fuentidueña (Castille). San Miguel. Modillon roman.
サンミゲル教会、スペインFuentidueña

こちらの図像は人間の子どものようである 

■Fig. 9 – Halberstadt (Basse-Saxe). Liebfrauenkirche. Chancel séparant le chœur du croisillon sud. Frise. Dét. (v. 1200).
ハルバーシュタット大聖堂(独逸)

こちらの図像はさらに人間の子ども二人 

Fig. 10 – Loches (Indre-et-Loire). Saint-Ours. Porche. Chapiteau (1160/68).
サン·アワーズロシュの参事会教会(仏蘭西)

Fig. 11 – Plaimpied-Givaudins (Cher). Ancienne abbatiale Saint Martin. Abside, fenêtre d’axe. Chapiteau (apr. 1125).
Plaimpiedのサンマルタン教会(仏蘭西ブールジュ)

Fig. 12 – Châlons-en-Champagne (Marne). Notre-Dame-en-Vaux. Portail sud. Chapiteau ( XIIe s.)
ノートルダム·アン·ヴォーの教会でシャロン·アン·シャンパーニュ(仏蘭西).

Fig13 – Vivar de Fuentidueña (Castille). Église. Portail ouest. Chapiteau (XIIes.)
ヴィヴァールデ (スペイン)

以上、J・ルクレール-マルクスのケンタウロスの図像を見てみました
「大地の女神が淫乱(ルクスリア)の図像へと変えられていく過程」(尾形希和子 「教会の怪物たち」p186)に関わるものという感じのもの

ルクレール‐マルクスへの言及

尾形希和子 同上書第3章のp138
女性に対する嫌悪にみちたセイレーンの例、グロビナの教区聖堂の説教壇
セイレーンは人間(男)を脅かし危険に陥れる「悪」や「悪徳」の寓意であると解釈されているその注(p 319)

ルクレール・マルクスは一方。「きわめて自然なことながら、芸術家は淫乱な女達の不品行な男友達にも刑罰を与え、十二世紀には、蛇による地獄の締めつけから逃れようともがく男たちを表す彫刻も知られている」としている

これは、「ミソジニ―」についての話だが、蛇に絡まれた人身獅子頭「アイオン」については、また別の課題があるはずだ・・
Zervanクロノス(ローマ時代)ちなみに、アイオンで見たいと思った像は、モデナ聖堂にある・・「グノーシス思想がキリスト教の聖堂の装飾に与えた影響は、いまだに解明されない部分が多いとある」p280が・・それはともかく・・

その他のルクレール‐マルクスへの言及は、第7章p281

ルクレール‐マルクスは木の枝を掲げ持つ人魚の図像をケンタウロスの図像から伝染だとする

(⇒ケイローンのページへ
サチュロスやケンタウロス、ミノタウロスという 怪物たちの混同についての第3章の注15,32、第4章の注10,11、、第6章の注5魚の尾を持つ人魚の起源、注8 第7章の注23,27,34など、計11ほどあった

■ケンタウロスの神話 モローのケンタウロス⇒centaurus2.html
■ケンタウロスの図像(アーサー・H・コリンズ「英国教会に現された動物と鳥のシンボリズム」)⇒centaurus1.html
■ ケンタウロスの図像(ルクレール・マルクス) ⇒J-L-Marx.html
■ケンタウロのケイローン(名を持つケンタウロス)⇒chiron.html
■The sagittarius(いて座,人馬宮) , or centaur, with bow and arrow, is one of the signs of the Zodiac. ⇒sagittarius.html
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